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プロローグ

美しいものが見たかったのです、とその人は言った。 穏やかに白々と明ける夜を見ながら私たちは際限なく広がる平野に立っている。冬の寒さで言葉は白い靄に変わりすぐさま掻き消える。 繋いだ手の力が強くなるのを感じながら私は光の眩しさに目を閉じた。 「あなたとなら、見られると思ったのです」 しんとした彼の声が白い世界に響く。 私は、ゆっくりと目を開けた。

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