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肩にかけられた毛布を両手で掴み、事件のあった銀行を眺める。 忙しなく動く警察官の話を盗み聞くと、あのリーダー格の奴が仲間から奪った拳銃が、爆発したらしい。 整備のなってない古い銃だったらしく、撃った瞬間に爆発。 だが、幸い負傷したのはその犯人だけで人質の女性は無傷だったらしい。 「でもさ、ただの無傷じゃないんだよ。 何だろうな……まるで前に誰かがいたような感じで、服や髪も全く汚れてないんだ」 「普通目の前であんな爆発起きたら汚れるはずなんだけどな。一体どうなってんだか…… まぁ、一先ずは全員無事で良かったな」 呆然とする俺の前を、警察が話しながらまた通り過ぎた。 なんで無傷なのか分からないってことは、あいつは消えたんだ。 爆発に巻き込まれ、この世から。 俺にはよくわからないけど、この世界の人間じゃなかったからいなくなってしまったのかもしれない。 もしかしたら本当に死んでいったのかも…… けれど、 (俺は…生きてる……) いつものクセで助けに入ろうとした俺は、あの爆発で死んでいた。 でも、生きてる。 確かにまだ、呼吸をしている。 ポツリ 「伝えな、きゃ」 立ち上がって毛布を地面に置く。 伝えなきゃ、想いを。 生田が繋いでくれた、俺の想いを。 まだざわざわしてる現場から、ゆっくりと…… 段々早く、立ち去っていく。 30年後の生田は、きっと「私が助けたからといって負い目は感じなくていい」と思っているはず。 「あの日の自分を前に進めさせるためにも告げて欲しい。私のようにならないためにも」と。 だから俺は、俺の感じたまま……その想いを伝えにいく。 あの日生田から告白された時に感じた想いを 告白されてからずっとずっと悩んだ想いを これから会う生田を見ながら感じる想いを ただ、素直にーー 「〜〜〜〜っ!」 全力で走って、呼吸がキツくてキツくて涙が滲む。 それを、歯を食いしばりながらグッと堪えて。 日が沈む前の綺麗なオレンジ色の夕焼けの中 ただただ、真っ直ぐに生田の元へ走った。 (ま、真崎くん!? どうしたのこんな時間に……なんかあった?) (はぁ…は……っ! 生田あの、俺ーー) *** fin.

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