55 / 87
第八章・5
いつものように道具責めの後で、たっぷりと弄ばれた遥は、朦朧としていた。
体内には、三回分の遠山の精が。
(うう。気持ち悪いよう……)
もうピクリとも動けない遥に、遠山が猫なで声を掛けた。
「今夜は、とびきりのプレゼントを持って来てあるんだよ、遥」
ベッドから降りた遠山は、ソファに置いてあったアタッシュケースに手を掛けた。
「?」
重い体を起こし、ベッドに座った遥は、遠山の所作をおぼろげに見ている。
開いたケースの中には、札束がぎっしり詰まっていた。
「え? これって……」
「これをね、遥にあげよう。だから、私のところに来なさい」
「でも、3年間は勤めないと」
「後で私が、金で解決してあげる。だから、今夜は私と一緒に帰ろう」
遥の目が、ぐるぐると回る。
思考が、渦巻く。
(あんなにたくさんの、お金。あれだけあれば、治療費と手術代が……)
「遥、惑わされるな!」
は、と遥は我に返った。
了が、室内へ飛び込んできたのだ。
ともだちにシェアしよう!