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第八章・5

 いつものように道具責めの後で、たっぷりと弄ばれた遥は、朦朧としていた。  体内には、三回分の遠山の精が。 (うう。気持ち悪いよう……)  もうピクリとも動けない遥に、遠山が猫なで声を掛けた。 「今夜は、とびきりのプレゼントを持って来てあるんだよ、遥」  ベッドから降りた遠山は、ソファに置いてあったアタッシュケースに手を掛けた。 「?」  重い体を起こし、ベッドに座った遥は、遠山の所作をおぼろげに見ている。  開いたケースの中には、札束がぎっしり詰まっていた。 「え? これって……」 「これをね、遥にあげよう。だから、私のところに来なさい」 「でも、3年間は勤めないと」 「後で私が、金で解決してあげる。だから、今夜は私と一緒に帰ろう」  遥の目が、ぐるぐると回る。  思考が、渦巻く。 (あんなにたくさんの、お金。あれだけあれば、治療費と手術代が……) 「遥、惑わされるな!」  は、と遥は我に返った。  了が、室内へ飛び込んできたのだ。

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