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第14話『結ばれた後の事』
気がついた時、雨は上がり、雷の音も止んでいた。
「弦次郎……」
俺の胸に縋り付くように身体を寄せておられる殿。
「お身体、お辛いですよね、申し訳ありません」
「謝るな。儂が望んだ事だ」
いつもの冷たく美しい顔が俺を見る。
「そうですが、俺、結構派手にやっちまって明日の稽古、出来ねぇと思いますけど……」
「何を言う。稽古を怠るなどあってはならぬ……」
そう仰って起き上がろうとした殿だったが、身体に痛みが走ったのか、起き上がれずにいた。
「ほら、だから言ったでしょう。秀太郎には俺から話しときます故……」
「お、お前は何て事をしてくれたのだ!!」
「も、申し訳ございません!!」
その白き顔に赤みを宿しながら話す殿。
「……弦次郎、次は気をつけよ」
再度お詫びの言葉を申し上げると、殿はまたとんでもない事を仰る。
「へっ?次があるんですか?」
「あ、当たり前だ……」
おいおい、当たり前ってどういう事だよ。
殿、ますます赤くなっておられるし。
「動けなくなるのは困るが、お前のあのような姿……儂は……嫌いではない……」
「殿……」
そんな可愛らしい事まで仰ってくるなんて。
俺、殿に心底惚れてしまいそうだ。
否、もうそうなっちまった……かもしれねぇ。
「弦次郎、儂が女子で穢れても、儂の傍にいてくれるか……?」
「……えぇ、そりゃ勿論」
「そうか……」
俺の返事に嬉しそうに微笑むと、殿は目を閉じた。
「もう寝る。お前もここで休み、朝餉の頃また起こしてくれ」
「……かしこまりました……」
それは俺にとって、妻と過ごした初夜よりも甘い夜になった。
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