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お茶会
篠崎宗旦(しのざきそうたん)と朝食漢三(あさばみかんぞう)は恋人ではない。ちなみに言うと人でもない。
化け狐の篠崎宗旦と送り狼の朝食漢三は、妖になる前からの友である。
ただの獣であった頃。家族を守る長争いに負け、一匹狼になってしまった漢三が狐を見つけた。野犬に襲われた兎を庇って傷を負った狐。それが篠崎だった。漢三は己と同じように独りだった狐を重ね、水場まで咥えてゆきそして獲物を与えた。
二匹は異種であったが、回復した篠崎が漢三の後ろをついて歩き、そして共に狩りをするようになった。
やがて妖力を授かり、人の言葉を使い始めた頃。漢三はどんどんと心惹かれてゆく己の気持ちに気づいてしまった。
いつのまにか、篠崎のことが好きになっていた。どちらも雄同士であるのに、子はなくとも家族になりたいと、身体を重ねたいと、あまつさえ思ってしまった。
その気持ちを伝えられずにいた漢三に別れの時が訪れる。
人に化けられるようになった篠崎が、街に住みたいと言い出した。
離れたくない漢三も、人に化けられるようになっていた。
『拾われる家が違くとも、人の齢で20になったらこの街で会おう。』
堪えきれずにそう言ってしまった漢三の言葉に、篠崎は二つ返事で答えた。
『うん、ええよ』
そして赤ん坊に化けた篠崎は、たまたま旅行に来ていた裕福な家に拾われた。
漢三は、その地の平凡な家に。
それから二人は遠くの地で、すくすくと育った。人並みに愛され、人並みに叱られ、人並みに苦労もした。
人の生き方を学んだ二人だったが、お互いに、お互いのことは忘れていなかった。
20になった日。漢三は街に来た。
(しまった。細かな場所を決めておくべきだったな)
人の多いその街で、探し回った雑踏の中漢三は立ち尽くした。
(こんなに人が多いとは…)
きょろきょろと辺りを見回すがそれらしい人も見つからない。というか、そもそも外見がわからない。
手紙のやり取りもなく、人に化けてから一度も会っていないのだ。分かるわけがない。
(どうしたらいい…?)
俯いた瞬間、懐かしい香りがした。
過ぎゆく男の腕を掴まえた。驚いたように振り向いた彼は漢三の緑の目と赤茶の髪を見て、ふ。と笑った。
「久しいなぁ、友よ」
「…ッ」
思わず抱きつき、抱きしめる。
「会いたかった…!」
ぎゅう、と力を込めると「痛いわぁ」と笑って抱きしめ返してくれた。嬉し涙が少しこぼれた。
現在二人はその街に出てきて、お互い一人で暮らしている。
篠崎は何でも屋を営んでいて、漢三は商社の経理部で働いている。
休みの日には篠崎が自宅でお茶会を開く。漢三は招かれては赴き、そしてたくさん話をした。今までの事やこれからの事。仕事の事や自分の事。ただ、篠崎に対する想いだけは、嫌われたくなくて、関係を壊したくなくて、どうしても伝えられずにいた。
そんな折。篠崎から相談を受けた。
『こないだ銭湯でチカンされてんけど…ウチってそんなにスケベなんかの…?』
聞けば初めてを犯されたと言う。
ふざけるな
そう、思う前に頭に血が昇ってしまった。
篠崎を引き摺るようにして喫茶から自宅へ連れて行き、そのまま強姦してしまった。
本当に悪いことをしたと思う。おかげで篠崎とはしばらく、結構な月日、全く連絡が取れなかった。もうこのまま、一生会えないのだと思った。
…篠崎からお茶会の連絡が来るまでは。
『朝食漢三様』と書かれた封筒の中にはいつもの招待状。
午後八時から篠崎邸でお茶でもどうかね?との事だった。
まさかの招待なうえ変な時間だが、誘われたなら行くしかない。他でもない篠崎からの招待なのだから。
「よォ来たなぁ漢三!」
ガチャリと開いた洋館の扉の前で漢三は立ち尽くした。
どんな顔して会おうだとか、どう謝ろうだとか、悩みに悩んでここまで来たのに今まで通りの篠崎がそこにいた。
「あ…あぁ…」
(忘れた事にしてるのなら蒸し返すのは野暮か…?)
そう思って口をつぐむ。
「さ、上がって上がって」
「…お邪魔します…」
「なんやの畏まって!」
あはは!と篠崎が笑う。
「先行っとって?ウチお茶持ってくから」
「…おう」
言われた通りにトントンと階段を上がり、いつものお茶会会場である小部屋へ向かう。
扉を開けるとふわりと古くさい埃の香りがする。篠崎が趣味で集めた骨董品達が、至る所に飾られていた。
(変わんねぇなぁ…)
いつも通りの部屋にいつも通りの香り。篠崎の香りもする。
すん、と鼻を鳴らすと後ろから声がした。
「ちょっと、そんなとこで突っ立っとらんと中入ってや」
「あ、悪い」
中に入り扉を開けておいてやる。
「ん、ありがと」
急須と湯呑みと小皿に乗った羊羹。篠崎はそれを部屋の真ん中の丸い机に置いた。
漢三も椅子にかける。
(羊羹…)
すんすんと鼻を鳴らして香りを嗅ぐ。
「ふふ、ちょっと待っとりぃや、すぐ淹れるから」
「うん」
漢三は羊羹が好きだ。数ある甘味の中で一番好きなのは羊羹。甘ったるさが篠崎に似てる。篠崎は人に甘すぎるし、多分、食べたら甘い。そんな香りがする。篠崎の肉は美味いんだろうな、と涎が出た。
「ほら、漢三」
おまたせ、と篠崎が湯呑みを差し出してくれる。
「あっああ、うん、ありがとう」
湯呑みを手に取り、アチ、と手を引っ込めた。
「淹れたばっかやから熱いよ、って言うたやん」
「あ、そ、そうか」
「今日の羊羹は龍進とこの新作やよ」
「そうなのか」
「なんや栗が入っとるんやってさ」
「栗羊羹?」
ほわ、と漢三の雰囲気が柔らかくなった。
「食べようや」
「ん、いただきます」
漢三は菓子楊枝で栗羊羹を少しだけ切ってそっと口に運ぶ。ぱく、と口に入れるともったりと甘くて、しっかりと栗の風味がする。皿の上の栗羊羹には丸ごと一個栗が入っていた。
「…うまい」
ぴこ、と漢三の頭に耳が生える。
「漢三」
「…ん?」
もぐもぐと口を動かす漢三は気づいていないらしい。
「出とるよ」
頭をトントン、と叩いて示す。
あ、と漢三は手を頭に乗せて狼耳に触れた。
「…ありがと」
しゅん、と耳は引っ込んだ。
「…ふふ」
ずず…と篠崎がお茶を啜る。ふー…と一息ついて話し出した。
「最近どぉ?」
「…最近?」
「うん、仕事とか」
「あー…まあまあ、かな」
「ふぅん」
「…」
しん、とする。
「ウチは…あれから…仕事、手につかへんよ」
「…」
あのさ、と漢三が口を開いた瞬間に篠崎もあ、と口を開いた。
「ごめん、先に言わせてくれ。」
「…ん」
かたりと漢三は立ち上がる。
「あの時は悪かった。本当にすまないことをした。謝って許されることじゃないと分かってるけど…ごめん。」
そう言って、土下座しようと屈んだ。
「ちょ、ちょっと待ってや!」
篠崎が椅子から降りる。
「ごめん」
額を擦り付けて謝る漢三の肩を掴み篠崎は起き上がらせようとした。
「やめてや!そんなことせんでええから…」
「いや、俺の気がすまねえから」
頑として動かない漢三に困った。
へた、と座り込んで篠崎はぽつりと言う。
「…あの日のこと、忘れられへんのや」
「すまない」
「…あのな、あん時言ったけど男に抱かれるなんてもう何遍も経験してんのやで?」
「それでも。ごめん」
「…もう顔あげてや。…ウチが言いたいのは、さ…」
さら、と漢三の髪を撫でて篠崎は言う。
「漢三としたのが…忘れられんのよ」
「…え」
「あは、やっと顔あげた」
「嘘かよ」
「…嘘やないよ。言ったやろ、何遍も経験してんのに…おまんの事だけ忘れられん」
「篠崎…」
「まぁ親友やから、ってだけやろうけどな!」
「…」
「でも…その…あー……」
指をもじもじとして篠崎は歯切れ悪く言う。
「気持ちよかってんよ……もっかい…してくれん?」
「は…?」
「ほ、ほら、依頼で男抱くこともあるからこう、勉強に!やな!」
「…わざとらし」
「…分かったよ。漢三との行為が気持ち良かったのでもう一度してください。…これでええやろ」
「…お前はそれでいいのかよ」
「…ええから言うてんの。」
はあ、と大きなため息をついて篠崎の両肩に手を置く。
「俺…遠慮しねえからな」
「…うん」
頭を抱き寄せてキスをした。
寝室へ移動して一人用にしては大きなベッドの上に正座する。
「…いいんだな?」
「うん」
「…分かった。…じゃあ…」
そう呟いて、スル…と髪を持ち上げてそれにキスをする。
す、と頬から首筋を撫でると、「ん」と篠崎が目を閉じた。
キスを待っているような顔にどきりとする。…していいのか…?
迷ってやめた。
ぷち、ぷち、とひとつずつ丁寧にシャツのボタンを外した。下まで全部外して、着物もはだけさせてそっと胸をさらけ出す。ひた…と手を置くと、心臓が動いていた。
突起を触ろうとして、やめた。躊躇ってしまって、どこを触っていいのか分からなかった。
「…」
「漢三…?」
「…本当にいいのか?触って…」
「言ったやんか…ええよ、触ってや」
「…ああ…」
そっ…と指先で首筋を撫でる。…手を引っ込めた。
「…んもう」
しゃーないなあ、と篠崎が頭を抱き寄せて、ちゅ、と唇を合わせた。
「!」
「遠慮せえへんって言ったのはどこのどいつや」
「…悪い」
「いいから。好きなようにして?」
「…後でダメって言っても聞かないからな」
「うん」
篠崎を引き寄せてキスをした。舌を入れ込み絡ませる。
「…ん…」
ちゅっと音が鳴って唇が離れる。
目を伏せている篠崎を見て、はあ、と熱っぽい息を吐いた。する、と首筋と腰を抱いて近寄る。
「篠崎…」
「ん?…ぁ…ん…っ」
優しく、深く絡めてやる。柔らかい舌で押したり撫でたりして篠崎の形を確かめる。
「…はっ…」
とろ、と唾液が紡がれて途切れた。熱い。
「篠崎…っ」
「んっ!…んん…っ」
ぼふ!と篠崎を押し倒してまた舌を入れる。絡ませて、食んで、舐めて…
「痛…ッ」
「は…ごめん…」
舌のピアスに牙が当たったらしい。篠崎はぺろ、と舌を出して聞いた。
「血、れてひゃい?」
「…ッ」
ぐ、と握り拳を作って叫び出したいのを耐えた。可愛すぎる。
「ひゃんろー?」
「お前…ホント…ッ…出てねえよ、大丈夫だ」
よかった〜とホッとする篠崎が言う。
「漢三、また出とるよ」
「え?…あ、ああ…」
耳と尻尾が出ていた。
「ふふ、ウチと居る時はいっつも気ィ抜いとんのやね」
「…悪いかよ」
「いんや?…でも他のの前では抜いたらあかんよ」
「まあそれは…気をつけてるけど…」
にこ、と笑った篠崎が漢三の狼耳を撫でた。
「んっ…」
びく、と震える。
「ん?漢三?」
「…んだよ」
「耳、気持ちええん?」
「ばっ…んなわけねぇだろ」
「そうなん?」
ふーん。ニタリ、笑って耳に手を伸ばした。
「や、やめろ」
「え〜?ウチは身体を差し出してんのに漢三はダメなん?」
「クソ…」
ぴこぴこ、震える耳に手を伸ばして撫でる。
「…っ」
ぎゅ、と漢三は眉根を寄せた。
「…もしかして痛いわけではないやんな?」
「い、痛くはねぇけど…っん…」
「ほな気持ちええん?」
く、はぁ、と顔を赤くした漢三が黙った。
「ええんやな」
漢三を抱き寄せてふわふわの耳を舐める。毛繕いする要領でぺろぺろと舐めてやると漢三の腰が震える。
「…っ…く…っ」
びく、びく、と漢三が震える度、篠崎はかぷかぷと耳を甘噛みする。…ふぅ、と息を吹き込んだ。
「〜〜〜ッ!」
がく、と漢三の膝が崩れて突っ伏す。は、は、と荒い息を吐く。
ごり、と太腿に固いものが当たった。
「あは…勃ってる…♡」
ふ、ふーっと漢三の鼻息が荒い。
(挿れたい…)その一心でゴリゴリと篠崎の太腿に股間を押し付ける。ふうふうと荒い息を吐きながら尻尾をピンと立てた。尻尾に引っ張られて着物が持ち上がる。
「漢三…?挿れるんやったらちゃんと解してくれなかんよ?」
篠崎がベルトを外してスラックスを脱ぐ。締め付けられるのが嫌で元から褌なんて着けてなくて、すぐ生肌が現れた。
「…っ…は…っ」
「よしよし…」
かぷ、と篠崎の首筋に噛み付いて腰を押し付ける。
「こら、ウチのこと良くしてくれるんやなかったんけ?」
「…っ…ぁ…あぁ…」
ままならない思考の中篠崎の下半身をまさぐった。
「ん…ん…っ…そこ…っ」
篠崎の中に指を挿れてしこりを触る。
く、と押して…離して、撫でて…叩いて。
「は、ぁ…っ…ぁ、ん…っ」
「篠崎…」
少し冷静になった頭で篠崎の言う通りに気持ちいいところを刺激した。
「そろそろ指増やすぞ」
「ん…ええよ」
一旦抜いて、三本目を揃えて挿れた。
「…ん…っ」
きゅん、と締め付けられる。あー…早く挿れたい。
焦る気持ちを抑えつけて優しく解してやった。
「は…っきもち…っ」
ぴくん、篠崎が震えて溢す。
…ダメだ。耐えられない。我慢できない顔を向けた。
「篠崎…」
「んふ、挿れたい?…ええよ」
ほら、と指で尻の肉を退けられてひくつく穴が見える。
ぞく、と背筋に興奮が走って、息をつめた。
側に置いてあるワセリンを掬って穴と竿に塗りつける。
とん、と合わせて言った。
「挿れるぞ」
ぐ…と押し込めてゆっくり沈めていく。何度も肉棒を受け入れた事のあるそこは柔らかく、しかしちゅうちゅうと吸い付いてきた。
「…は、ぁ…♡」
篠崎が背筋を逸らして快感を逃すのを、腰を鷲掴んで押さえ込む。
「…ッ篠崎…」
とちゅ。尻の肉と竿の付け根がくっついた。
「あ♡おく…きた…♡」
「…は…ッ」
きもちい…。軽く刺激を送る度、きゅんと締め付けられて固いものが更に固く太くなる。ふー、ふー、と鼻息を抑えられないまま身体を寄せて篠崎に覆い被さった。
「ぁは、漢三…興奮してんの…?」
「…当たり前だろ…っ」
するりと頬を撫でられて微笑まれる。愛しくなってキスを落とし口内を撫でた。
「…っは…篠崎…」
「ん♡漢三…♡」
ごくり。…唾液が止まらない。漢三は自分の欲望と戦っていた。
…食べたい。
叶うなら食いちぎって肉を咀嚼し血を飲んで腹の中に収めてしまいたい。それほどに、篠崎の事が好きだ。しかしそんな事をしてしまえば篠崎はいなくなってしまう。肉食動物としての欲望と、愛から来る欲望が、ない混ぜになってグルグルと頭をめぐる。
低く喉が唸り、口の端からたらりと涎が垂れた。
ふッふッと短く呼吸をして落ち着ける。ダメだ、いけない。そんなことをしてはダメだ。
…口内の唾液を全て飲み込んで耐え切った。
「漢三…♡」
篠崎はそんな事つゆ知らず抱きしめて体を寄せる。
「篠崎…」
すり、と肩口に頭を擦り付ける。せめてもの足掻きと首筋に舌を這わせて汗を舐めとった。
「ん♡…も、動いてええよ…」
「ぁ…あぁ。」
身体を起こして篠崎の腰を掴んで固定し、そして揺らす。
最初はゆっくり…だんだん速く。そして強く。
「ぁ♡…っは、あ…っ…あっん…っ♡」
ぱちゅぱちゅ、前屈みになりながらも腰を動かして中を撫でる。
ごりごり、と内壁を擦りあげれば篠崎は声にならない声を上げて背を反らした。
「〜〜〜〜〜〜〜〜ッ♡♡」
「は…かわいい…ッ」
豊満な筋肉が汗で濡れてぬらりと光る。エロい。その一言に尽きた。
がつん、と強く打ちつけた。そのままゴツゴツと奥まで突き上げる。
「あっあっ、アッ♡あ、んッ♡や、んぁッはげしッ♡」
「は、はァ…ッ…ん、は…ッ」
身体を起こし、篠崎の腰にあるそそり立ち蜜の溢れる陰茎を握ってやる。強く握りしめて上から下まで一気に扱いた。
「ぅあ♡な、ん…ッ♡、アッ♡あぅ♡」
シコシコと扱き上げて出来る限り同時に腰を揺らす。奥まで挿れて突き上げた。
「あ、あ♡んぁあ♡、は、あぅ♡うあッ♡あ、ぁ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!♡♡♡」
ガクガク、膝が震えて白濁が飛ぶ。びゅるッと出たそれは篠崎の胸あたりまで汚した。
「は、はッ…イけたな。よかった…ッ」
糸を引くそれでドロドロになった手を篠崎の手に絡めて身体を寄せる。
「俺も、イかせてくれ…ッ」
ず、ずちゅッごつッ
「あ、ぁ♡いっちゃう!イッちゃ、あ♡あッ♡は、あ♡あ〜〜〜〜〜ッ!!」
「…ッく…!」
イく寸前陰茎を引き抜いて外に出した。飛んだ白濁は篠崎の股間を汚した。
「は…っ…はァ…ッ篠崎…篠崎ッ」
「あぅ♡…は…♡」
ぐちゃぐちゃの髪もそのままに抱きしめてキスをしてやる。震える舌で応えてくれる篠崎が愛しくて、離したくなくなった。
(永遠にこのままでいたい)
そんな思いは通じず篠崎が背中から手を離す。仕方なく力を緩めて身体を起こすと、篠崎はとろとろの顔で微笑んで言った。
「気持ちよかった…ありがとな、漢三…」
「…ああ。俺も。」
二人が片付けて眠る頃には深夜を回り丑三つ時を目の前にする時刻であった。ほんのりと点いたベッド横のオレンジの灯りが、耳の生えた二人の顔を優しく照らしていた。
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