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RESTARTはひまわり畑で
高校二年の夏休み、幼馴染みで親友の涼夜と夏の思い出を作ろうと亮汰は地元の早朝のひまわり畑に二人で行く事にした。
涼夜とも共有してる表向きの理由は受験で忙しくなる三年を前にいっぱい遊ぼうということだったが、たぶん学力差で進路が別れると思ったので少しでも一緒にいたかったのだ。
亮汰は出会ったときから彼が好きだったからだ。
外遊びも好きなのに勉強が得意な彼のその性質も、中学の頃からかけ始めたメガネ越しにこちらを見て笑うその笑顔も全部好きだった。
この気軽な幼馴染みの距離感が心地よくて、関係を変えたくなかったから、気持ちはずっと言わないつもりだった。
そのひまわり畑にいく当日になった。
亮汰は涼夜と自転車で待ち合わせ、人通りの少ない朝の空気のなかを二人で走らせる。
そしてついたひまわり畑は早朝ということもあって人があまりいなかった。
ここに来るまでに汗をかいた二人を早朝の日差しが照らした。
「おー、やっぱり壮観だ。一面のひまわりだよ」
二人の背丈をも越えるひまわりが目の前に広がっていた。
「うん、すごい」
亮汰が言葉少なに答えると涼夜はにっと笑った。
「迷路入ってみようよ」
その涼夜の一言でひまわり畑のなかに入ってみることになった。
迷路が作られており入れるようになっていた。
ふたりでひまわり畑のなかを歩いていく。
目の前を行く涼夜がふと立ち止まった。
「ふたりきりだね」
「ん?ああ」
亮汰がうなずくと、涼夜はメガネをはずしてポケットにいれて、亮汰の手首をつかんで引き寄せた。
亮汰から涼夜のゆるく着たシャツから日焼けのあとと白い肌の境界線が見えた次の瞬間に二人の唇は重なっていた。
突然のことで驚いた亮汰の唇が薄く開いた。
そのすきに涼夜の舌が亮汰の口腔内に侵入する。
それは息をつく暇もなく。
彼が亮汰の口の中を堪能しつくしたあとは、亮汰が息も絶え絶えに顔真っ赤にして、二人の少し離れた間に銀の糸が繋がった。
「っ…はぁ…え……」
息も絶え絶えに困惑しきった目で涼夜を見つめる亮汰を見て彼は薄く笑った。
「亮汰ったら僕のこと好きなのに鈍いよね。」
そういって彼は亮汰を抱き締めた。
「この夏に思い出をいっぱいつくって僕と離れようと思ってるんだろうけど、そうはさせないからね。
勉強は僕が教えてあげるから一緒の大学に行こうね。」
そういって亮汰の耳をはむっと口に含んでなめ始めた。
亮汰は突然の出来事に体が固まってしまっていた。
その最中も耳から未知の感触が脳に送られ、さらに動けなくなる。
気のすむまで片耳をなめると涼夜は亮汰の目を正面から見つめた。
「僕も亮汰が好きだからずっと一緒にいてね」
そういって、涼夜はまだキスを再開した。
自由にまさぐられ続ける口腔内の感覚でぐちゃぐちゃになった思考で、亮汰はずっと一緒にいてくれるならいっかとそのまま涼夜の気のすむまで身を任せた。
こうして一応思いが通じた二人だが、涼夜が出会ったときから一目惚れした亮汰を絡めとろうとしていたことを亮汰が知るのは、涼夜のスパルタ教育で亮汰が学力をあげ、大学受験が終了し、節約との名目でふたりの同棲生活がはじまるその直前だったのは余談である
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