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STARTはお揃いの名前で

涼夜が亮汰と出会ったのは幼稚園の頃だった。 母親同士が昔の知り合いだったらしくてその関係で幼稚園の入学式ではじめて出会ったのだ。 入学式のあと、母親同士が同じ音を子供の名前につけたともりあがっていた。 涼夜は母親の影に隠れていた亮汰に話しかけた。 「はじめまちて。ぼく、りょうや。なまえは?」 「りょうた」 「りょうた!なまえ、おそろい!」 「うん」 母親の影に隠れながらそうはずかしそうに笑ったその顔に、涼夜は強烈なひとめぼれをしたのだ。 母親たちをみるとまだ話をしている。 「ママ、あそんでいい?」 涼夜がそう訪ねると母親から許可が出て亮汰の母親からも許可が出たので、彼に手をさしだした。 「あそぼ!」 「うん」 おずおずと亮汰もその手を握り返した。 そのとき、幼いながらもひとめぼれの彼を一生離さないと決めたその瞬間だった。 「なかよくして、りょうた」 それからは、幼馴染みとして一緒に過ごした。 涼夜も亮汰も他に友達はいたが、一番に優先したのは互いであることがおおかった。 でも、中学くらいになると亮汰は他の友達とも遊ぶようになった。 まあ、思春期であるしそういうこともあるだろうと、涼夜も見かけだけの友達と遊ぶこともあったが、亮汰とあそぶより面白くて楽しいことはなかった。 高校に上がると逆に亮汰がこっちにべったりになった。 なんとなく、察することができた。 高校までは一緒にくることができたのだが、だんだん学力差が開いてきたからだ。 その証拠に高校では学力で振り分けられるクラスが一緒にならなかった。 だから、休み時間や放課後はずっと一緒にいた。 だから、大学に行くことを見据えて亮汰は離れようとしてるんだと思った。 長年の付き合いで亮汰が鈍くて頑固なことはわかっていたから。 それは高校二年生になったら拍車がかかり、休日は毎週一緒にいるようになり、いろんな所に出掛けた。 そんな一度決めたらくつがえさないのにすごく鈍い亮汰は壁を壊すくらいの衝撃をあたえなきゃダメだって思ったから。 行動にうつすことにした 夏休みに早朝のひまわり畑にいくことになったので、それがチャンスだと思った。 早朝だったらきっと人もいない。 ひまわり畑にいく当日になった。 涼夜は亮汰と自転車で待ち合わせ、人通りの少ない朝の空気のなかを二人で走らせる。 そしてついたひまわり畑は早朝ということもあって人があまりいなかった。 二人を早朝の日差しが照らした。 「おー、やっぱり壮観だ。一面のひまわりだよ」 涼夜はひまわり畑を見るふりしてとなりの亮汰をちらりと見た。 放心したように眺めていてその様子がかわいいなと思った。 「うん、すごい」 亮汰が言葉少なに答え、嬉しくて涼夜はにっと笑った。 「迷路入ってみようよ」 涼夜の一言でひまわり畑のなかに入ることになった。 迷路が作られており入れるようになっていた。 これで確実にふたりきりだ。 ふたりでひまわり畑のなかを歩いていく。 涼夜はふと立ち止まり振り返った。 後ろにいる亮汰に微笑みかける。 「ふたりきりだね」 「ん?ああ」 亮汰がうなずくと、涼夜はメガネをはずして手早くポケットにいれると、亮汰の手首をつかんで引き寄せた。 亮汰の驚いた顔が可愛くて口許かゆるむ。 その隙に涼夜は亮汰に口づけた。 突然のことで亮汰の唇が薄く開いた。 狙いどおりなそのすきに涼夜の舌が亮汰の口腔内に侵入した。 亮汰が息をつく暇もなく、涼夜は口腔内を蹂躙する。 彼の口の中を堪能しつくしたあとに口を話すと亮汰が息も絶え絶えに顔真っ赤にして、二人の少し離れた間に銀の糸が繋がった。 涼夜はかわいいなぁとおもった。 「っ…はぁ…え……」 息も絶え絶えに困惑しきった焦点のあわない目で涼夜を見つめる亮汰を見て薄く笑う。 「亮汰ったら僕のこと好きなのに鈍いよね。」 ものごとが考えられないうちに畳み掛けてしまおう。 亮汰を抱き締めて種明かしの一部を話す。 「この夏に思い出をいっぱいつくって僕と離れようと思ってるんだろうけど、そうはさせないからね。 勉強は僕が教えてあげるから一緒の大学に行こうね。」 亮汰の耳をはむっと口に含んでなめ始める。 亮汰は突然の出来事に体が固まってしまっていた。 それも涼夜の作戦のひとつだった。涼夜が舐めたり触ったりしたかったのもあるが。 思惑通り亮汰は動けなくなっているようだ。 気のすむまで片耳をなめると涼夜は亮汰の目を正面から見つめた。 「僕も亮汰が好きだからずっと一緒にいてね」 そういって、まだキスを再開した。 まだまだこんなの足りない。 涼夜は亮汰の口腔内を自由にまさぐり続けた。 ずっと離してなんてあげないんだから。 涼夜は薔薇色になるであろうこれからを思って、心のなかでほくそえんだ。

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