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えっと、まずはチームを紹介します!(2)
オフィスが山奥にあるという欠点を如いてあげるとするならば、本社で会議がある時くらいだろうか。都会で暮らしていた時よりもずっと早くに出発しなければならない。
宝は幼少の頃から両親が共働きということもあってか、父方の祖母と家にいる時間が多かった。おかげで炊事洗濯が得意になり、ひとりで黙々と何かをすることが好きだった。
そういった生い立ちだから、おっとりした性格で、実は都会よりもこういった田舎暮らしに憧れがあった。
宝にとって、今のこの職場はとにかく過ごしやすい。
木の葉が風に揺られてさわさわと音を奏でている。
山沿いに流れている小川のせせらぎが心地好い。
ここには都会の喧噪もなく、ただ自然の息吹が聞こえてくるばかりだ。
蛇のように曲がりくねった車道に沿って歩いて行けば、真っ白なテラスが見えるそこが、宝の出社先だ。
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