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えっと、まずはチームを紹介します!(3)

 オフィスから少しでも離れれば、そこは木々が生い茂った森の中だ。殺伐とした都会ではあまり考えられない、こういう自然な場所で仕事をするのも悪くない。  もうすぐ好きな人に会える。  そう思えば、宝の足が速くなる。  おかげで仕事へと急ぐ足が幾度となく砂利道に転がっている石に(つまず)きそうになる。 「おはようございまっ……うわわっ!」  宝は見えてきたオフィスの木戸を開けた。  丞に会うことばかりを考え、浮き立つ心を抑えきれなかった宝は足下に段差があるのを忘れていた。そのまま前のめりになり、倒れ込みそうになる。  すると宝の目の前に腕が現れた。斜めになる身体はその腕によって見事に掬い取られた。  見上げると、そこには宝が恋心を抱いている丞がいるではないか。  宝の心臓が、どきりと大きく鼓動する。

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