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えっと、まずはチームを紹介します!(4)

 好きな人に支えてもらって嬉しいと思う宝だが、しかし丞は違う。彼が宝を助けたのは成り行きだったらしい。彼は相変わらずの仏頂面だった。  丞に恋心を抱く胸が痛むのに、触れられた身体が熱を持つ。  声が震えてしまうのは、丞に嫌われて悲しいからなのか、受け止めてもらって嬉しいからなのか。あるいはその両方なのかもしれない。  朝からの思ってもみなかった好きな人との至近距離に、宝の心臓は大きな鼓動を繰り返す。  いつまでも無言でいる宝を不信に思ったのか、丞が顔を覗き込んできた。  宝の心臓はもう爆発寸前だ。どうしようかとドギマギしていると、薄い唇が開いた。 「……顔色が悪いな」  端整な顔立ちをしたその人の眉間に皺が寄っている。  宝の顔色が悪いのは恐らく、ここへ来た当初から見る、あの狼の夢が原因だろう。しかしまさか丞にそんなことを言える筈もなく、宝は唇を噛みしめた。

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