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えっと、まずはチームを紹介します!(5)
「体調管理も仕事の内だ。それくらいきっちりしておけ」
不機嫌な物言いに、あれほど煩 かった宝の心臓が一気に縮まった。
「……すみません」
彼のたったひと言で、胸が痛む。
丞の一挙一動が宝のすべてを操作する。
それだけ自分の胸は丞で一杯になっているのだ。
「丞、そう言うアンタの方がよっぽどおかしいわよ。慣れない山奥で暮らそうっていうんだもの。誰だって体調くらい崩すわよ、ねぇ、宝ちゃん? あたしなんてもうお肌がボロボロで……」
ピンヒールの足音と共にオフィスの中からやって来たのは、阿佐見 泪 。
彼女は丞と同期で入社したこのプロジェクトチーム唯一の女性だ。
腰まである茶色の髪はきちんと手入れしているのだろう、綺麗に波打っている。
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