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えっと、まずはチームを紹介します!(9)
どうにも遊んでいるようにしか見えない宝は、いつも彼の口の軽さに戸惑ってしまう。
「こんな山奥にまで来て、まだそういうことを言っているのかお前は。口説くなら他でやれ。仕事の邪魔だ」
斎の申し出は嬉しいが、何分宝が好きな人は丞だ。
勘違いされても困る。斎の申し出をどうやって断ろうかと慌てていると、丞の冷酷な言葉が耳に入った。
またもや宝の胸はジクジクと痛みはじめる。
「……まったく、素直じゃないんだから」
「何か言ったか?」
「いえいえ、何もございませんわ。リーダー。丞が煩いから今日の目標達成までとっとと片付けてしまいましょう」
「何か悲鳴が聞こえたけど、大丈夫かい?」
宝が阿佐見と丞のやり取りをいつものように遠巻きで見ていると、また新たな人物が奥から顔を出した。彼は会社のプロジェクトにと丞が人選した、田牧 桐彦 だ。
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