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悲恋。(1)
†
いくらウェアウルフという種族が治癒能力に長けていたとしても、それでも傷口から流れる鮮血を見るのは辛い。
あれから宝は阿佐見たちと一緒に丞の屋敷に戻ると、阿佐見と斎は宝が気絶させた田牧を連れて家に戻った。
宝は――というと、一度帰宅し、家から包帯や解熱鎮痛剤やら一式を持ってふたたび丞の屋敷を訪れた。
狼にこういった鎮痛剤を飲ませてもいいのか迷っていると、どうやら迷う必要もないらしく、人型へと変化した。
傷口が開かないよう、しっかり包帯を巻いたしこれでひとまずは安心だろうか。
ベッドの横のナイトテーブルに固定されている蝋燭の淡い炎が、秋のすきま風に吹かれ、揺れる。
阿佐見と斎曰く、ウェアウルフはかなり視覚が優れていて、遙か山の遠くも見渡せるらしい。それに加えて今日は満月だ。ウェアウルフの魔力は一気に昂ぶり、視覚も今まで以上に研ぎ澄まされているという。
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