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another story † 丞と泪(5)

「あいつは連れがいる」 「えっ、連れ? あ。そうですか、そうですよね」  困惑気味の宝に丞がそう言うと、彼はすんなり頷いた。どうやら泪がフリーになっているところが想像できないのだろう。  まあ、たしかに彼女の容姿は華やかで、常に楽しそうだ。多少――いや、大いに気の強いところを除けば、思いやりがあり、頼りになる。そんな彼女を他の男は放って置くわけがない。 「まったく!」  たかだか化粧品のために宝を使わないでほしい。  丞は宝を抱きしめ、ぶつぶつとぼやいた。  丞と泪**END

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