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another story † 丞と泪(4)
というかそもそも彼女にはすでに恋人がいる。寂しいとは無縁の生活を送っている。だから彼女の言っていることを鵜呑 みにする必要はないのだ。
しかし宝はとても純粋で優しい。だから彼女たっての願いを聞き入れるに違いない。現に今、宝はとても悲しそうに彼女を見ている。
このままでは宝が泪に横取りされてしまう。
そう感じた丞は身を乗り出した。
「わかった。買ってやるから店には一人で行け」
「わかればいいのよ、わかれば。じゃ、宝ちゃんまた明日ね」
泪の用件を聞き入れると、案の定、彼女は反旗を翻すと足早にオフィスを後にした。
彼女が向かう先は彼女の男に違いない。
そんな泪を尻目に、先ほど誘われた宝は困惑している。
「えっ? あの、ケーキは? あれ? 阿佐見さん? えと、椎名さん、ひとりは寂しいです……」
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