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第3話
こいつが 可愛い可愛い 俺に言い始めたのは
いつだったっけ? いつからだっけ?
でも、わりとはじめの方からな気がする。
可愛いって言われて
「はあ?何言ってんのお前。それ全然嬉しくないんだけど...」
て、俺が多分心底嫌そうな顔したんだと思う。
そしたら何か、面白いものでも見つけたみたいな顔して にやぁと笑って。
それから、こいつの口癖みたいになってしまった。
みたい、じゃないか。
口癖だな、完全に。
俺、こいつのこと親友って呼べるくらいには好きなはず、なんだけど 。
時々、こいつは悪魔なんじゃないかって思う。
人の嫌そうな顔見て にやぁ って笑うんだよな、こいつ。
それこそ、心底嬉しそうに。
「お前、悪趣味 」
「どこがよ〜」
「お前の口癖どうにかなんねえの?俺それ嫌だって言ってんじゃん」
「え〜 だって事実だしなあ〜〜」
はぁーーーー、、、
こいつの間延びした話し方。
あと、声。
この声が 嫌味な感じに聞こえないんだよなー
それのせいか嫌だ何だと言いつつ、結局それを許してしまう。
「ほらほら、そんな怒ってたら眉間の皺が跡になっちゃうよ〜〜 これあげるから機嫌なおして〜」
「......」
まあ、一応貰えるものは貰う。
貰った(奪い取った)お菓子を袋から出して食べる。
「んま、なにこれ。新商品?」
「そそ!お前好きそうだな〜と思って買ってみたのよ」
「そりゃ どーも」
こいつはこういうところがあるから憎めない。
別に餌付けされている訳ではない、決して。
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