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第68話《おまけ+》宰相閣下はズルいα【後編】(完)

「ひどい」  ひどいのはお前だ、瑠月。 (俺の胸の痛みは、お前になんか分からない) 「輝夜様。目を背けたい現実かも知れませんが、受け入れて下さい。輝夜自身様は、ほうけ……」 「言うなァッ!!」 「皮被りで早漏です」 「言うなって言ったのに……」 「はい。ですので言い直し……って、輝夜様。どうして泣くんですか」 「泣いてない!」 「ですが……涙が」 「泣いてないってば」  うぅ……泣いてないもん。 「輝夜様」  零れ落ちた雫を指がすくった。 「あなたの反応が可愛らしくて、つい調子に乗ってしまいました」  すくいとった指の雫を、チュッと唇が舐めた。 「申し訳ございません」 「そんなの……理由になってない」  ひっく。  うまく声が出せなくて、込み上げてしまう。 「そうですね。理由にならないくらい、あなたが時々愛おしくなるんです」  あたたかな体温が頬をつつんだ。 「許して下さい」  瑠月はズルい。 (瑠月はこんなにズルい奴だったか?)  こんなふうに言われたら、許さないなんて言えない…… 「まだ許して下さいませんか。それとも、答えて頂けないのは、お許しだと受け取ってもよろしいでしょうか」  答えてなんかやるもんか。 「ねぇ、輝夜様」  せめてもの細やかな反抗だ。 「じゃあ……」 「わっ」  突然抱きすくめられて、額にチュッ  唇が降ってきた。 「許して下さるまでキスします」 「ズルい!」 「ズルいのは輝夜様ですよ」 (俺が?どうして?) 「こんなふうに仕向けて、私を煽るあなたはズルいです」  チュッ♥ 「わあっ!」 「さぁ、次はどこにしましょうか。ほっぺた?耳たぶ?それとも、うなじがいいですか」 「瑠月!」  卑怯、卑劣、狡猾、不遜! 「何とでも仰って下さい」  今ごろ私の正体に気づいたあなたは、可愛いですね。                 《fin》          本編はまだまだつづくよ♪

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