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第1話
「もも、それもっと上にして」
「は、はいっ!こうですか?」
ぼくは今、はるか先生と母の日コンサートでステージ用の飾りを取り付けている最中だ。
ぼくが脚立に上り、はるか先生が位置を確認してくれていて、あと1個飾り付けたら仕上がる……というところだった。
「お、完璧!いいじゃん!!」
笑顔のはるか先生を見て、上手くいって良かった……って思った時だった。
「うわぁっ!!」
脚立から降りようとした時、ぼくは脚を踏み外してしまう。
「もも……っ!!」
はるか先生がぼくを助けようとしてくれて、ぼくらは激しくぶつかった。
………………………………………………
いたたたた。
はるか先生も痛かったよね、大丈夫かな。
一瞬の事でびっくりしたけど、身体は動くから怪我はなさそう……あれ?
何で目の前にぼくが倒れているんだろう。
「う……っ、もも、大丈夫……って、俺!?」
ぼくがはるか先生みたいな話し方をしてる。
って事は……。
おそるおそる左手を見ると、そこには金色の指輪が嵌めてある。
……ぼく、はるか先生になっちゃったの……???
「マジかよ、信じらんねー……」
はるか先生も同じ事を思ったのか、ぼくの身体で大きくため息をついた。
「もも、とりあえず明日起きたら戻ってるかもしんねーから、今日はこのまま過ごすぞ。いいな?」
「えっ、あっ、でも……」
「大丈夫だって。後はせいぜい家でピアノやるくらいで帰って寝るだけだし。誰もお前と俺が入れ替わったなんて信じねぇと思うからさ、頑張ろうぜ」
「は……はい……」
すごく、不思議な感覚だ。
ぼくの身体なのに、そこには、いつものような笑顔のはるか先生がいる気がした。
「悠太郎の事は任せとけ。あいつらには具合悪いから先に寝るとか言えば何とかなるから」
「は、はぁ……」
大丈夫かな、本当に。
特にはるき先生、ぼく、すごく怖いんだけど。
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