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第27話 純斗と初めて会った日のこと③

 「その日のレッスン後、残って1人で練習していたところに、怖い顔をした純斗が入ってきたんだ」  俺の目を3秒見つめ、話を続けた。 「『永人、頑張るのはいいけど、もっと周りを見ろ。その内、怪我するぞ。お前だけが、周りを見ていないから合わないんだ。こんなところで1人で練習してたって、いつまで経っても上達なんかしないぞ。それに、さっきのところ、もっとこうした方が綺麗に見える。ほら、真似してみ? 俺も付き合うから』って、言ってくれた。初めて叱ってくれて、ダンスの指摘もしてくれた。その日を境に、周りを見る様にもなれた。純斗にとってはなんてことない注意だったとしても、俺にとっては意義のあるものだった。そして、毎日レッスン後の練習にも付き合ってくれた。純斗になら自分の全てをさらけ出しても、変な目で見ず、受け止めてくれるって、どこかでそう思った」  俺の目を見ると、ありがとう、と永人はニコッと笑った。  永人の全てを聞いて、俺は受け止めてあげたいと素直に思った。

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