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第31話 ジャケ写撮影④
充電完了!、と俺から離れた永人の顔は、えらく満足気だった。
対する俺は、永人との温度差が激しすぎて顔が引きつってしまった。
「何て顔してんの?」
「びっくりしたんだよ。いきなりで」
嫌だった?、と明らか拗ねた顔で俺を見た。
「嫌じゃないけど……、急にしたら危ないだろう。びっくりするし、ソファがあったからよかったけど、怪我したら大変だぞ」
「ごめん、でも急にしたくなって……」
怒られて反省している子犬のようで、胸がキューっと締め付けられた。
こんな胸の締めつけは生まれて初めてだった。
可愛いなと思っていると自然と俺は、永人をギュッと抱きしめていた。
「今度から、そんなに飛びつかないで普通に抱きついてくれ」
俺の胸の中で、永人は頷いた。
「ほら、明日も早いしきょうは帰ろう」
「あ、待って。もうひとつ言いたいことが!」
思い出したように、永人が俺の腕を引き寄せた。
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