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第30話 ジャケ写撮影③

 楽屋には、いつの間にか俺と永人だけになっていた。  「明日も早いし、帰ろうか」  俺の言葉に返事がなかった。  「どうした?」  声をかけるといきなり、永人が勢いよく抱きついた。 ラグビー選手のタックルを受けたかの如く俺はバランスを崩して、ソファに倒れこんだ。  「ビックリした! 何、どうしたの!?」  俺に抱きついたまま、一言も話さず、ただただ抱きいている。 抱きつく力が強くなり、首が締まりそうになった。  「永人、痛い痛い! ちょっと!」  「純斗うるさい! いま充電中なんだから静かにして!」  何故か逆に怒られる始末。 いきなり抱き締められてびっくりしない方がおかしい。 そりゃ、誰だって大声出すよ。  俺は、大人しく抱き締められることにした。  

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