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3.ケイとアンリ (8)

 ケイは涙目になって男の手元をうかがいながら、もう一度自身に指をからめた。 やがて前だけの刺激では物足りなくなり、自分で中に入れてしまったローターの存在が気になり始めてしまう。  男は今度、ローターのスイッチを入れたり切ったりを繰り返し始めた。 「あっ、や、だめっ、」  断続的に与えられる刺激に、ケイの体は焦らされて、感度を高めてゆく。  もっと、というところで止まってしまう。 ケイはとうとう耐えきれずに涙を溢して、お願い、と男に懇願した。 「耐え性ないなぁ」  男はおかしそうに声をたてて笑いながら、急にローターのスイッチを一番強くすると、リモコンをベッドのヘッドボードに置いた。 「あぁーっ! やだっ、とって、中、だめっ、へんっ」 「ダメじゃなくて、気持ちいいんでしょ?」  諭すように耳元で囁かれる。そのまま押し倒されて、ケイは男を誘うように足を開いた。 「きもち、いっ、も、あぁっ」 「どうしてほしいの、」  にこにこと楽しげに、男がたずねてくる。 「中、に、欲しっ、……おっきい、の、入れ て、っ」  ケイは息継ぎをしながら、懸命に男にねだった。 「うーん、60点かなぁ、」  あはは、と男は笑って、ケイの乱れた頭をちょっと撫でてから、 「でもまぁ、可愛いから許してあげる」  と言いながらケイの膝裏を持ち上げて秘所を暴くと、固くなったもので、無遠慮にそこを貫いた。  ケイは突然与えられた強い衝撃に喉をそらした。 男の性急な律動に、奥を突かれるたび、悲鳴のような声をあげる。  体の中が熱くて、黒く爛れてゆく感覚に襲われた。  ――誰か助けて。  心が叫んでいた。 しかしケイはそれに耳を貸さない。 助けてくれる誰かなど存在しないことを、どうしようもないほどに理解していた。

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