26 / 50

4.キス (4)

 喉が焼けて内側から爛れていく夢を見た。  目が覚めたとき、全身は冷や汗で濡れていて、そのせいか体が冷えて寒かった。  べたつく感じがして気持ちが悪く、ケイはひどく重たい体を引きずってシャワーを浴びた。  途中で何度か座り込みそうになりながら、どうにかバスルームを出てバスタオルで体を拭いたが、寒気はますますひどくなっていく。  ケイは洗ってしまってあった長袖のTシャツにスウェットパンツを穿いて、ふらふらとキッチンに行き、コップに水をくんで飲んだ。  そこで初めて、喉が痛いことに気づく。  風邪だとケイは確信して、水を飲み終えると、再びベッドに戻り布団をかぶった。  悪寒が消えない。  ケイは寒さに震えながら、目を閉じてみたが、眠れそうにもなかった。  どのくらいそうしていたかわからないが、うっすらと意識が遠のきはじめたとき、インターホンの音で覚醒させられた。  ケイは布団から出ようとしたが、関節が痛くて立ち上がれそうにない。  二回目のインターホンが鳴り響いたが、三回目はもう鳴らなかった。  ケイは再びまぶたを下ろしたが、次にスマートフォンが着信音を響かせたので、びっくりして眠気が遠のいた。  画面を確認すると、アンリの名前が表示されている。  ケイは通話ボタンを押したが、スマートフォンを手に持っているのも辛くて、スピーカーに切り替えた。

ともだちにシェアしよう!