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5.我侭 (3)
「カズキさん、イブにしようよ。クリスマスイブ!」
カズキの隣に座っていた、ユウと呼ばれているホストが、話を戻す。
「……イブなんてみんな忙しいだろ、」
「おれは暇なのー! イブにひとりぼっちとか寂しいー!」
どうやら、飲み会の算段をしているらしい。
カズキは再びスマートフォンに視線を落とし、スケジュールを確認しながら、イブは無理だろーと呟いている。
それからふと、所在なく立っていたケイのほうを見て、おいで、と手招いた。
「え……?」
ケイはうろたえた。
「おーいーで、」
カズキはもう一度、拒否を許さない笑みとともに呼びかけた。
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