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5.我侭 (4)

 ケイはおずおずと、ふたりが座っている、ゆったりとした三人掛ソファの傍へ行く。 するとカズキに隣へ座るように促された。 「忘年会やろうかって話してるんだけど、ケイも来ない?」  カズキは、遠慮がちに浅く腰かけたケイの顔を下から覗き込むように、ちょっと体を近づけた。  ふわっと甘く誘うような香りがして、ケイは思わず顔を赤くする。 「カズキさんてケイみたいな感じタイプですか?」  空気を読まない感じで、ユウが横から口を出した。 「ユウおまえちょっと黙っとけ」  体勢と表情はそのままで、カズキは無感情の声色でユウを制した。  ユウは、えー、と不満そうに唇をとがらしている。  ころころと変化するユウの表情を半ば無視して、カズキはケイに柔らかい微笑を向けた。 「ケイ?」  「あ、でも、おれ、」 「どうせケイも暇してるでしょ。つまんなかったら途中で帰ってもいいし、」  ね、と爽やかに、しかしちょっと強引に言われて、ケイはこくんとうなずいた。 「よし、じゃ決まりだなー」 「24日ですか?」と、ユウの声が嬉しそうに弾む。 「だから、イブは無理だって、」 「えー……じゃぁおれ、イブどうすればいいんですか、」 「あちこちイベントやってんだから、そんなひとりで過ごしたくないなら適当なとこ参加すればいいだろ」 「えー……」  ユウはまだ不満そうに口を尖らせているが、やはり忘年会はクリスマスイブではなく、イブの前の週の土曜日に開催されることに決定した。

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