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5.我侭 (7)

「ケイって、レイに会うの初めてだっけ、」  カズキは回転式のカウンターチェアに座ったままくるりと回ると、ボックス席のほうでドリンクの準備をしている、LUCEの店員らしい人物のほうへ体を向けた。 「レイ、なんか手伝う?」  カズキにレイと呼ばれた店員は、いったん手を止めてカズキとケイが座っているカウンターのほうを見た。 「このあとシキも来るから大丈夫だと思うけど、カウンターは面倒見れないかも」 「おー、平気。こっちは勝手にやる、」  集合時間まであと十分くらいだった。 ケイが着いたときはまだ参加メンバーの半分もいないくらいだったのが、続々と集まってきて、店内が騒々しくなり始めている。  カズキは再びチェアを回して、またケイのほうに体を向き直すと、 「いま、喋ってたの、レイっていうんだけど、胡蝶蘭のホストもやってるんだよ」  ケイは相槌をうつようにうなずいて、ちらりとレイのほうを見た。 作り物のようにきれいな姿をしているのに、独特の色気のある人だった。 耳に聞こえた声音や口調は穏やかで、人見知りするケイでも、不思議と安心する感じだった。 「おとこ、の、ひと、」  ケイの問いかけに、カズキはあはは、と笑いながら、 「うん。男の人。女の人に見えた?」 「わからなかった、」 「わかんないよねー」  よしよしと頭を撫ぜられて、ケイはちょっとうつむいた。 モトイもそうだけれど、なぜだかすぐに頭を撫ぜられる。 ふと、アンリからもよくそうされていたな、と、過去の記憶が蘇って、慌てて思考を止めた。

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