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第1話

世界的大女優、城音寺メイ。 テレビにその顔が出ない事はない程の女優である彼女には、どうしても隠しておきたい秘密があった。 それはデビュー当初、不倫関係になった今は亡き有名映画監督との間に産まれたひとり息子、峰崎碧唯(みねざきあおい)の事だった。 不倫という許されない関係から授かった碧唯を、事務所のスタッフ以外に知られる事なく出産し、自分なりに子育てしていたメイだったが、碧唯はいじめられ、小学校に通えなくなってしまっていたのだ。 そのまま碧唯は家の外に出る事なく、19歳になっていた。 いじめは碧唯の世界を変えた。 『父親を知らない変な子』 『お母さんが芸能人だからって偉そう』 そんなつもりもないのに勝手な事を言われ、持ち物を隠されたり壊されたり、時には暴力を振るわれたりした。 (こんな辛い思いをするのは全部お母さんのせいだ) 碧唯はそう考えるようになり、ある日その思いを爆発させてしまった。 「ボクはお母さんのせいでいじめられてるんだ!だからお母さんがお仕事を続けるならボクはもうどこにも行かない!!」 どうせ自分は存在していない事になっているような存在だと思うようになっていた碧唯は母親にこう言い放つと、部屋に閉じこもった。 以降、母親のメイは仕事を休んで息子の心に寄り添う事もなく、碧唯を腫れ物に触るように接してきて何でも言う事は聞いてくれるものの愛情は与えてくれず、仕事でいない時は家政婦に任せていた。 家から出ない生活でそれまで母親そっくりの愛らしい顔立ちだった碧唯は、スラリとした美少年からぽっちゃり体型の男性へと変貌していた。

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