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第26話

十哉にオムライスを作ってもらった碧唯は、誘われて一緒にオンラインゲームをする事にした。 「今日はゴメンね、びっくりしちゃったでしょ?」 「え、えぇ、まぁ……」 「俺、スイッチ入っちゃうとあんな感じになっちゃうんだよね。カズキがドMだから余計なんだと思うんだけど……」 「はぁ……」 聞いていないのに話してくる十哉。 「だからさ、カズキとは出会うべくして出会ったんだって勝手に思ってる。俺、元々は男に興味なんてなかったのに、専門学校でカズキを初めて見た瞬間、イチコロだったんだよ。アイツ、今も美人だけどその時もめちゃくちゃ美人でさ。絶対俺のモノにしようって思っちゃったんだよね。そしたらカズキも俺のコト嫌いなタイプじゃないって言ってくれて。あれから10年過ぎようとしてるけど、こうして一緒にいられてホント幸せ」 「…………」 嬉しそうに話す十哉に、碧唯はふたりが恋人同士だという事に気づいた。 「タケルもさ、君を見てイチコロだったと思うよ。ずっと探していた君が想像以上に好みのタイプだったからすぐ連れ帰って首輪つけさせてペットにしちゃうくらいにね。今まで何人もの彼氏見てきたけど、ここまでするの初めて見たよ」 「はぁ……」 (今まで何人も……) やっている事は理解に苦しむが、その精悍なルックスは人気があってもおかしくないと碧唯は思った。 「子ブタくん、タケルと自分とじゃ釣り合ってないとか思ってるでしょ?」 「………」 特に考えた事もなかったが、碧唯はそう言えなくて頷いてしまう。 「俺もカズキと付き合いたての頃、そう思った時あったよ。カズキのファンから僻まれて喧嘩沙汰になった事もあったりしてさ。でも、カズキが俺に手を出したら許さないって言ってくれて、それでも色々揉めたりもしたけど、釣り合ってるかどうかなんて関係ない、お互いを想いあっている気持ちがあればそれでいいんだって気づいたんだ」 ふたりでステージクリアを果たすと、十哉は笑顔を浮かべながら碧唯の頭を撫でてくる。 「大丈夫。タケルは君の親みたいな事は絶対しないから。あ、でも、子ブタくん的にタケルはタイプじゃないのかな?」 「……よく分からないです。ボク、人を好きになった事ってないから……」 碧唯は自分の気持ちを口にしていた。 「そっかぁ。……じゃあきっと、子ブタくんがタケルを好きになるまではタケルは君を抱いたりしないのかもしれないね。……いや、待てよ。タケルの事だから堪えられなくなる可能性もあるか……」 碧唯から見て、十哉はどこか碧唯と威の関係をゲーム感覚に捉えているような感じがした。 (でも……ボクはペットであって恋人じゃないから釣り合うとか釣り合わないとかそういう次元じゃないのかもしれない……) テレビモニターの真上にある一機と十哉の幸せそうなツーショット写真を眺めながら、碧唯はそんな事を考えていた。

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