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第27話
威が帰宅したのは、十哉と一機が作ってくれた夕飯を食べ、ふたりがジムに向かおうとしていた時の事だった。
「お帰りなさい」
「ただいま、子豚ちゃん。昼間は可愛い画像をありがとうございます」
ふたりの目の前で抱き締められ、頭を撫でられる。
「遅かったじゃない」
「飛行機が遅れたんですよ。ご飯支度、任せてしまってすみません」
「お互い様だろ?タケルの分、キッチンに避けといたから食べろよ。んじゃ、俺らジム行くから」
「帰ってきたら記者会見の打ち合わせしたいから、やるコトあるなら終わらせといて」
「分かりました。ありがとうございます」
ふたりを見送ると、威は用意された夕飯を食べ、碧唯は威からもらったお土産のお菓子を横で食べていた。
「美味しい……!!」
「ふふっ、君が喜びそうだと思って買ってきました。こんなに幸せそうな顔をしてくれるなんて嬉しいです」
1口サイズのチョコレートケーキ。
碧唯はその美味しさに夢中になり、思わず1箱全部食べてしまっていた。
「ごめんなさい、全部食べちゃいました……」
「いえ、これは君の為に買ってきましたから気にしないで下さい。僕は……君の残したチョコレートを頂きますね」
「え……んん……ッ……!」
ダイニングチェアに座ったまま抱き寄せられると、威は碧唯の口についたチョコレートを舐め取り、そのままキスをしてくる。
「ふぁ……ぁっ……」
歯列を舐められ、そのチョコレートケーキの味を共有されると、碧唯はそれに快感を覚えていた。
「んん……っ……!!」
頬に触れていた手が下へ下へと降りていき、大股の辺りで止まると、威が唇を離してニコリと笑う。
「ご馳走様でした。とても甘くて美味しかったです。……さ、カズキたちが戻って来る前に君のお仕事を終わらせなければいけませんね」
「は……はい……」
碧唯は威に手を引かれ、部屋に向かう事になった。
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