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第36話
『子豚ちゃん、今は練習ですし、僕とふたりだけですので問題ありませんが、本当の撮影中に興奮してしまったら、その時はちゃんと我慢して下さいね。我慢したら……その分たくさんご褒美をあげますから』
威のを愛撫しながら自慰行為に及んでしまった碧唯に、威は色気たっぷりの笑顔でそう言った。
「はい……」
(想像する時はあまり考えすぎないようにしなきゃ)
と、先刻の行為を反省した碧唯は威の作ったナポリタンを昼食に食べると、仕事から帰宅した一機にメイクを施され、撮影に臨む。
今回の服装は白いビキニ。
大きめのサイズだったが、ぽっちゃり体型の碧唯には少しきつかった。
「加工するとはいえ、太過ぎるわ。タケル、写真集の時までに少し痩せさせた方がいいんじゃない?」
「駄目です。子豚ちゃんのこの可愛いフォルムが痩せてしまっては台無しになってしまいますので絶対認めません。トウヤに頑張ってもらえばいい話でしょう」
一機に言われてグサッときた碧唯だったが、威がすかさず擁護してくれた。
「仕方ないわね。あと……首輪はどうするの?こないだはつけたままだったわよね。トレードマークにする感じ?」
「それなんですが、飼っていた愛犬の形見だからいつも身につけている……という設定はどうでしょうか?」
「いいわね。動物好きっていうので好感度もアップするだろうし。豚、分かった?」
「は、はいっ」
(外す……っていう選択肢はないんだ……)
と碧唯は思ったが、言える訳がなかった。
午前中、威と練習した事を考え過ぎない程度に考えてもう一度やってみる。
「……こんな豚なのに色気あるように見えるわね。ワタシたちの力も勿論あるけど、豚も初心者にしては頑張ってるじゃない」
「ありがとうございます!!」
「えぇ、子豚ちゃんはとても頑張っていると思いますよ。午前中に練習した時の方がもっと可愛いんですが、それは僕だけの宝物にします」
撮影した画像を3人で確認する。
(今日も褒めてもらえた。良かったぁ)
ふたりが頭を撫でてくれて、碧唯はとても幸せな気持ちになった。
「トウヤの加工が終わり次第、記者会見しましょう。後は写真集のスケジュールとか決めなきゃね」
「そうですね。あ、子豚ちゃんはパスポートが必要ですね」
「は……はぁ……」
(本当に行くんだ、海外……)
心の準備を少しづつでもしなければいけないと感じた碧唯だった。
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