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嫉妬 2

 俺は驚いた。  この人が言っている。  結局のところ「何をしていてもお前を許す」と。  プライドの塊みたいなこの人が。  自分が誰よりも愛されたいこの人が。  俺はポカンとしてあの人を見つめていたのだと思う。  あの人は、そんな俺に苛立った。  「死んで逃げるなんて許さない。お前は僕のだ。僕だけのだ。だから僕が言う通りにしろ!!僕の言うことを聞け!!」  まるで子供がワガママを言うように怒鳴り散らした。    でもその目の必死さに俺は驚いた。  まるで小さな子が置いていかれるのを恐れるかのように、その綺麗な目は見開かれていた。    俺の頬に置かれた指が震えていた。     こんな時なのに俺の胸に甘い痛みが走った。  この人は恐れている。   俺を失うことを恐れている。  裏切った俺でも、俺を失いたくないと思ってくれている。    俺は頬に当てられたあの人の手をとり、その指先にキスをした。    あんたは・・・裏切った俺でさえ愛してくれているの?  「俺ね、他の人を抱いてしまったんだ」  俺は囁いた。   言わずにはいられなかった。  なかったことにはできなかった。    あの人の顔がクチャっと歪んだ。  あの人が泣いた。    「言うなって・・・言ったのに・・・」  あの人が泣く。  あの勝ち気で残酷で傲慢なあの人が泣く。  その涙が綺麗で俺は辛くて切なくて。  でも。   でも。  こんなこと思ってはいけないのに。  裏切った俺でも、あの人が俺を欲しがっていることを感じて・・・嬉しかった。       もしかしたらあんたは、俺があんたを愛しているから、俺を愛しているわけではないの?  どこか諦めたように愛していた部分が埋められていく。    「俺を赦してくれる?」  俺は懇願する。  赦されたいと願っていいの?    「赦さない。赦さない・・・赦さない!!だから、絶対に僕から逃げるな!!」  あの人が怒鳴った。    俺はあの人を抱きしめた。  泣きながら抱きしめた。    「うん。ずっといる」  俺は囁いた。  あの人の頭を自分の肩口に押し付けた。  俺が泣かせたあの人を慰めるために。  震える身体を抱きしめた。    「絶対に離れない」  俺は約束した。       ベッドに押し倒され、服を剥ぎ取られた。  あの人も服を脱ぎ捨てる。  あの人が俺にのしかかってきた。   強く股間を掴まれ、痛みにうめき声をあげた。  「これを他のヤツに挿れたのか」  あの人は怖い声で囁いた。    「うん・・・あんただと思ったんだ。夢であんたを抱いていると思ったんだ」  俺は顔を歪ませながら言う。  潰されてしまうのかもしれない。    あの人は潰す代わりにポロポロと涙を流した。  「僕のなのに!!僕のなの・・に」  その泣き方があまりに可愛くて、罪悪感や痛みも忘れて俺は呆然と見つめたしまった。  あの人は泣きながら、俺のを咥えた。  あの人はめったにそんなことをしない。  あの人は後ろや、乳首で俺をイかすのが好きで、俺の喉をお犯すのが好きで、めったにそんなことはしないのに。  あの人の綺麗な唇が俺のを咥えて、その舌が俺のを舐める。  先の穴をほじるように舐められ吸われ、唇で扱かれる。  「溶ける・・・」  俺は呻く。  瞬く間に育ってしまう。  俺は思わずあの人の頭を押さえつけてしまった。  思わず腰を奥に送り込んでしまう。  あの人は抵抗しない。    あの人の中だ。  俺はその口の中を擦ってしまう。  気持ち良かった。  だから、さらに奥に入りたくなってしまった。  あの人の頭を押さえつけ、その喉の奥を犯す。  あの人が苦しげにえづいた。  でも、愛しくてとめられない。  気持ち良過ぎて、たまらない。    俺は声を上げてあの人ののど奥に放った。  あの人が、えづき、むせて咳き込み、俺は慌てた。  「ごめん。ごめん・・・」  俺は必死で謝る。  俺は何を・・・。  この人がせっかく・・・・。  「謝るな!!」  あの人が怒鳴った。  あの人はベッドサイドからローションを取り出した。  俺は濡らしてもらえることにホッとする。  何されても文句は言えないと思っていたからだ。    だけどそのローションが使われたのは俺の穴じゃなかった。  俺のをまた咥えて、育てながら、あの人は自分のそこを自分で濡らしてほぐしはじめた。  俺は口でされる気持ち良さよりも、その光景に驚き過ぎて・・・。  固まった。  あの人が、自分の穴をほぐしている?  何故?  何故?  何故?

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