39 / 594

妬み

───────── ぼんやりと意識が覚醒していく。 酷く頭がいたかった。 体がだるく、起き上がることさえできない。 風邪も悪化したのかな。 朦朧とする意識のなか、体が揺れてることに気付いた。 ああ、まだやられてるのかな。 「も………やめ、て……………」 声を捻る出すと、ぎゅっとオレを包む力が強くなる。 「もう、大丈夫だから」 低くて甘い、安心する声。 変なの。せんせーがこんなに都合よく何度も助けてくれるはずがないのに。声が聞こえるなんて。 第一、こんなとこ、だれよりもせんせーに見られたくないっての。 「せんせ……」 それなのに、オレの口は無意識に彼をよんでしまう。 「なんだよ」 ああ、これ、夢だ。 オレが作り出した、都合のいい夢。 返ってくるはずのない返事が聞こえて嬉しいのに、なぜか涙が溢れる。 ごめんなさい。オレがもっと綺麗な人間なら、もっとあなたに飛び込んでいけるのに。 汚いオレがまとわりついて、ごめんなさい。 「……っめんなさ………ごめ、んなさ……」 「喋んな」 せんせーの穏やかな声と、頬に暖かい手の感触が気持ちよくて、また目を閉じた。

ともだちにシェアしよう!