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第28話 舞い降りた恋18
「智也って、料理出来るんだね」
祥悟は、智也が用意したベーコンとほうれん草のパスタを食べながら、感心したように呟いた。
「いや、料理はほとんどしないよ。俺が作れるのはパスタだけかな」
「ふうん。でも美味い」
「そう? よかった。ね、祥悟くん、明日は仕事かい?」
「ん。午後から例の延びてた雑誌の撮影。あ、なあ、智也?」
「ん?なに?」
「その、祥悟くんっての、止めねえ?なんかキモい。呼び捨てでいいよ。俺も智也って言ってんじゃん」
智也は食事の手を止めて、祥悟を見た。
「……そうだね。じゃあ……祥悟?」
「ん~~。……祥、でいんじゃね?」
「……祥」
「うん。それでいいよ。あ、この野菜ジュース、意外と美味い」
祥悟はあっさりとそう答えてまた食べることに集中し始めたが、こっちはそれどころではない。
(……祥……。うわ。祥って呼んでいいのか)
心の中で、何度も言い方を変えて「祥」と呟いてみる。じわじわと嬉しくなってきて、頬のにやけが止まらなくなった。
(……あーあ。俺、終わってるよな。呼び捨てでいいって言われたくらいで、喜び過ぎだろ。でも……祥……かぁ……)
智也の知る限りでは、祥悟のことを「祥」と呼んでいるのは、姉の里沙だけだ。
ということは、祥悟は自分のことを、身内のように親しく感じてくれている、ということなんだろうか。
だとしたら、すごく嬉しい。
「……何、にやにやしてんの?それ、もう食わねえのかよ?」
はっとして顔をあげると、祥悟が怪訝な顔で、自分とパスタを見比べている。智也はゆるみかけた頬を引き締めて
「あ、ああ。うん、なんか胸いっぱいだな。よかったら、これも食べて?」
「ふーん……。じゃ、遠慮なくもらうけど」
祥悟は差し出された皿を受け取ると、もぐもぐと食べ始めた。
(……それにしてもよく食べるな。昼間のパフェといい、カロリー制限とかしないのかな)
モデル業だから当然、自分の容姿が商品だ。
それほど太りやすい体質ではないが、智也も食事にはある程度気をつけている。肌の調子や傷なども、自己管理は怠らない。
(……太れない体質なのかな。そういえば喫茶室で見せてもらったお腹周り、ちょっとどきっとするくらい細かったな)
「明日、午後からなら、今夜はここに泊まっていくかい?君の家ってたしか○○だろう?結構こっち出てくるのキツイよね」
(……なーんて。さりげなく言ってみたりして……)
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