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第53話 波にも磯にもつかぬ恋24※
いろいろな感情が複雑に沸き起こって、もう何をどう考えたらいいのか分からない。
なんだろう。この子のびっくりするような真っ直ぐな信頼は。
おそらく祥悟は、周りにそうと見せているほど、扱いにくい子ではないのだ。意外と単純で純粋で、驚くほど裏表がない。
生意気な言葉や行動が捻くれているように見えるから、もっと複雑でややこしい気がしてしまうだけなのだろう。
(……それにしても、参った……)
『智也なら、いいよ』
祥悟のこのセリフを聞くのは2回目だ。
あまり舞い上がり過ぎても、期待し過ぎてもいけないと、必死に自制してはいるが、2度もこんなことを言われると……果てしなく自分に都合のいい解釈をしてしまいそうになる。
「なに、笑ってんだよ、おまえ。ちぇっ……感じ悪いし」
自分は今、どんな顔をしているのだろう。
「笑ってないよ。ただ」
「ただ、なんだよ?」
(……君が可愛くて、愛しくて仕方ない)
智也はそう言いたいのをぐっと堪えて
「信じてくれていいよ。君が本当に嫌なこと、俺は絶対にしないから」
智也がそう言って微笑むと、祥悟は一瞬きょとんとしてから、にやっ……と共犯者めいた笑いを口の端に浮かべた。
「ちょっ、待てって、そこ、ダメだってーの。擽ったいって」
「うーん? もうギブアップかい?」
「……っ。誰が、ギブアップ、なんか、するかよ」
ベッドにうつ伏せの祥悟に後ろからのしかかって、智也は肩甲骨の辺りをまた舌で舐めた。
細い祥悟のその部分は、きゅっと綺麗に窪んでいて、天使の羽根の跡みたいに見える。
「ここ、いい? 感じる?」
「……っん……っんぁ……っ」
背骨から腰にかけて、滑らかな肌につーっと舌を這わせていくと、祥悟はシーツをぎゅっと掴み締めて仰け反った。
明らかに、擽ったいんじゃなくて、感じているみたいだ。
(……どこもかしこも敏感だな)
弱い部分を愛撫で探っていくと、すごく可愛いらしい反応をしてくれる。しなやかに反り返った白い身体は、ほんのりと桜色に染まっていた。
智也は手を前に伸ばして、祥悟の胸の尖りを指で探った。ぷくっと存在を主張している粒を指先で摘むと、祥悟は、あっ…と焦った声をあげて身を捩る。
「ここ、摘むとどんな感じ?祥」
「んっぁ……や……っ」
「ちゃんと、答えて? どう感じるの?」
摘んだ乳首をぐにぐにしながら、耳の後ろから囁くと、祥悟はいやいやをするように首を振った。
「っあ……っん……っやめ……」
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