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第6話

 首の、革の首輪に沿って何度もキスを落とされる。かと思うと舐められる。くすぐったいような、じりじりとした甘い刺激が湊からもたらされる。遥は身を捩った。 「せんせ、」  上擦った声で遥は湊を呼ぶ。湊に触られるところ全部が気持ちいい。 「せんせ、好きです」  頭がくらくらとして上手く動かない手先で、遥は首輪を外そうとした。それを湊が止める。 「それは外さない、って約束」  そう言いながら、湊は汗で額に貼りついた髪の毛を剥がしてくれる。 「僕はせんせとつがいになりたいのに」  どんなにお願いしても、「うん」と言うばかりで、湊は聞いてくれそうにない。代わりに手のひらは優しくからだの線をなぞっていった。そんな甘い刺激さえも下腹部で熱になる。もうぐちゃぐちゃだろう下着が、きっとまた汚れる。そうはわかっていても、太もも同士を擦り合わせるのをやめられない。  湊が「つらい?」と訊いてくるので、遥は頷いた。  遥の黒のスキニーパンツに手がかけられた。腰を上げると、下着ごと取り払われる。緩く勃ち上がった性器の先端から下着に、何本も半透明の糸を引いた。 「うわあ、ぐちょぐちょだね」  よくがんばりました、と湊が遥の耳元で囁く。 「ん……っ」  遥が鼻にかかった声で返事をする。 「一回出しちゃおうか」  湊は遥の小振りな性器を手のひらで刺激する。 「ひぁ……っ」  それだけで、遥は湊の手のひらを汚した。「あ、ごめんなさい……」はくはくとした呼吸の合間に謝ると、「いいよ」と言われる。そして湊の骨ばった指は、遥の後孔を探しだした。つぷ、と指先を押し込むだけで、淫猥な水音が立つ。 「もうちゃんと濡れるんだね」  押し込まれる指の本数が急に増えて、遥は「あ、あ……っ、せんせ……っ」と言いながらまた達した。 「せんせい、も、挿れて……」  遥が濡れた瞳で哀願する。その遥を俯せに寝かせると、湊は濡れた後孔に自身 を押し当てる。 「あ……、あ、あっ、せんせ……っ」  無意識に湊から逃げようとする遥の細腰を掴まれて、ひと息に押し込まれる。 「遥くん……っ、きつっ、……動くよ」  湊からからだを離そうとする遥を、引きずり戻して無理矢理抽挿をする。 「あ、あんっ、……あっ、せんせ、はげし……っ」 「遥くん……」  余裕のない湊の声を背中越しに聴く。何度も首輪越しにうなじを舐められた。代わりに肩や背中を噛まれる。そんな痛みも快感となって、遥のからだを伝う。 「ひ……、あ、ぁああ……っ」  からだの奥を抉られて、遥はこれで何度目か達した。腹の中が締まって中で湊も吐精する。 「あ、あ、せんせ、好きです、キスして」  まだ荒い呼吸のまま、遥がお願いをする。避妊具の始末をしながら湊は「それは、本当に好きな人としなさい」と言って、遥の頬を膨らませた。  遥の不規則なヒートが原因とはいえ、主治医が変えられることはなかった。一方で、遥は未だにかたい革製の首輪を外すことを許されていない。 「湊先生となら番になりたいんですっ」  そう主張する遥のことを、湊はまだ半分子供として扱っているような気がする。口へのキスも「本当に好きな人としなさい」と言うばかりだ。 「次こそ湊先生を落としますっ」  診察に来た湊に指を突きつけて、遥は宣言する。

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