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第11話 初対面

その人との約束は健斗が間に入って取り付けられ、僕たち当人同士は直接連絡先を知ることは無かった。 何かあった際に、連絡が取れない方が都合が良いからだ。 健斗からの連絡で、僕は待ち合わせ場所に立っていた。 すると目の前にホワイトのマイバッハが停車して助手席のサイドウィンドウが開いた。 思っていたより年かさの男性が声を掛けてくる。 「君が静音君?」 「はい」 「名取(なとり)だ。お待たせ、どうぞ乗って」 なんでもないことだと思っていたのに、知らない相手の車に乗ると思うとちょっとだけ手が震えた。 だけど僕は感情を押し殺して助手席に乗り込んだ。 「いやぁ、君みたいな綺麗な子だとは思ってなくて驚いたよ」 名取と名乗った男は運転しながら話しかけてくる。 僕はどう応えたら良いかわからず、適当に返事をする。 「ありがとうございます」 「ご飯食べてないよね?」 「はい」 「レストラン予約してるから。フレンチでいい?」 「はい」 正直お腹は空いていなかった。それより早くこの熱をどうにかしたかった。 名取はホテルの中のフレンチレストランに僕を連れて行き、勝手にコース料理を注文してワインを飲み始めた。 僕はお酒を飲むのはあれ以来控えていたので断った。 向こうは上機嫌で色々話しかけてきたが、仕事の話はよくわからないし興味もなかった。 僕が20歳と知ると驚いた顔をして、その後いやらしい目で上から下まで眺められた。名取は37歳だと言った。 整った顔立ちで、いい車に乗っていてモテそうなのになんで僕みたいな男を抱こうだなんて思うんだろう? 結婚はしていないのかな?見たところ指輪はしていなかった。 料理は美味しかったけどやっぱり食欲が無くて食べきれなかった。 名取は僕が緊張してるせいだと思っているようだった。 「今日はついてるな。こんな美人…しかも20歳とは」 ホテルのエレベーターの中で僕のうなじに触れながらそう言った。 部屋に入るなり、僕は我慢できなくて名取の胸にしがみついた。 「もう我慢できない…」 「驚いた。随分積極的なんだな。さっきから話しかけても生返事だったからやる気ないのかと思っちゃったよ」 「早くしたかったから…」 僕がそう言うと、名取はニヤついた笑みを引っ込めて生唾を飲み込んだ。 「いいね、清楚っぽい見た目なのに中身は淫乱なんだ…たまんないな」 「いいから…早く…キスして」 もうそこから名取は無駄口を叩くのをやめた。 粗っぽい様子で口づけしてくる。 「んっん…うっん」 遊び慣れた見た目に違わず、名取はキスが上手かった。僕はすっかり気分が良くなってきた。 「あ…たくさん触って…気持ちよくなりたい…」 「いいよ…可愛いな。なんでもしてあげるよ」 実際名取はなんでもしてくれた。全身舐め回され、何度も絶頂に追いたてられた。 久々のセックスなのもあって僕は乱れた。 その姿は名取を喜ばせた。 僕はちょっと乱暴にされるくらいが好きみたいで、酷くしてと名取にせがむ。 名取は加減を心得ていて、傷跡が残らない程度に僕に噛み付いたり、思い切り激しく後ろから突いたりしてくれた。 めちゃくちゃにされて、その間僕は頭が空っぽになって快感だけを追うことができた。 「あ…気持ちいいっああ、あんっはぁ、はぁ、イキそぅ…」 「可愛いよ…静音…」 「あっ、名前もっと呼んでぇっ」 「静音…静音…いっていいよ。全部出しなよ」 「中気持ちいい!あんっイク、イクっ!!ああっ」 僕が射精した後しばらくして名取も達した。

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