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第12話 暴力
こうして僕は初対面の人と会うのにも慣れていき、定期的に熱を発散することでなんとかうまくやり過ごせていた。
大学にも順調に通えていて、このままいけばちゃんと国家試験も合格出来そうだ。
やってることはまるで娼婦みたいで嫌になるけど、何より父に迷惑をかけることもなく済んでいるのが救いだった。
そしてそんなある日、初めて会う男との間でトラブルが起きてしまった。
その人は優しそうな見た目の30代前半の教師だった。正直あまり好みではないし、優しすぎて期待できなそうだと思っていたのに、ベッドでは豹変するタイプだった。
「あっ…いや!やめて、痛い…!」
僕は始める前に酷くしてと言ってしまったことを後悔していた。
「だめ、切れちゃうぅ…ああっ」
「痛いのがいいんだろ?すごいな、君最高だよ」
「痛い、いた…あっああっ」
ろくに解さずにいきなり挿入され、遠慮なく腰を振ってくる。
男は興奮していた。そして興奮すると歯止めが効かないようだった。
「オラ!もっと足開けよ」
その後も無理矢理口でさせられ、苦しいと言っても喉の奥を突くのをやめないなどかなり乱暴にされた。
苦しい…助けて…
こんなことしてるから罰が当たったんだ…
僕、なんで生きてるの?もういっそ死ねたらいいのに…ごめんなさい、ごめんなさい、許して…助けて父さん…
「淫売のくせに口答えしてんじゃねえぞ!」
「やめて、お願い殴らないで…あっ!」
男が怒鳴ると僕が萎縮するのが面白くて仕方が無いようだった。
綺麗な顔が恐怖に歪むのを見るのが好きだと言って涙を流す僕の顔を舐め回した。
殴られて口の中が切れていたし、顔も腫れてると思う。最悪だ。
早く終われと念じながら僕はひたすら耐えていた。
最後にしつこく連絡先を聞かれたが絶対に答えなかった。
相手が帰った後、自分で動けず初めて事後に健斗を呼んだ。
健斗はすぐに駆けつけてくれ、僕の酷い状態を見て激昂した。
「あいつ、絶対に許さない…!」
「やめて健ちゃん。父さんに知られたくないんだ」
「でも…!おい、静音これ…首絞められたのか?!」
「え?」
「赤くなってる、クソ!あいつ殺してやる!!」
「ごめんね、ごめんね。僕が酷くしてって言ったのがいけないの…ごめんなさい…」
「静音…」
「だからお願い、何もしないで。誰にも言わないで」
僕は泣いて頼んだ。
身体の痛みよりこのことが父に知れることの方がずっと辛かった。
僕はもう二度と初対面の相手に「酷くして」なんて言わないと誓った。
健斗は不服そうだったが渋々了承した。
この先一生会うことはないと思ったその相手を僕はその後ニュースで見ることになった。その教師は生徒に淫らな行為を強要した罪で逮捕されたのだった。
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