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第2章ー第22話 最悪な気分はお互い様

 田口にそんな思いをさせているなんて、少しも思ってもみない保住もまた。 「最悪……」  半分吐きそうになりながら、そばの電柱に手を着いた。酒は好きだが、不愉快な酒は身体に悪影響を及ぼす。 『お送りいたしますよ』  そう言った女将の手を振り切って飛び出した。 「不本意なことをするものではないな」  口元を抑えて夜道を歩く。自宅までは三十分はかかりそうだが、仕方がない。体力もなく日頃の疲れも溜まっている。そこにこの嫌な酒だ。絶不調で歩くのもままならないが、帰らないことには始まらないのだ。なんとか必死に歩みを進めた。  ――田口(あいつ)の企画書に目を通さなくてはいけない。こんなところに留まってはいられないのだ。    そう思いながら。

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