51 / 194

第51話

きっと、他愛もない話だったんだと思う。 佐々木が気を利かせ、色んな会話を楽しめたたったの15分間の電話。 俺はあまりよく覚えていないが「あぁ」とか「そうだな」なんてつまらない相槌ばかり打っていた気がする。 『じゃー切りますね!また月曜日コンビニで話しましょー!』 佐々木の言葉に、月曜もシフトが入っているのかと無性に嬉しさが込み上げた。 ま、今までだって俺があそこへ行く時は、殆ど佐々木が居たんだが。 と、いうか。 思わず返事をしてしまったわけだが、もしや佐々木の仕事を邪魔する…イコール営業妨害になりかねないんじゃないか? これ以上犯罪に手を染めるのは懲り懲りなんだが。 やはり佐々木は、どうにかして俺に犯罪者のレッテルを張り社会的に抹殺するのが狙いなのではないだろうか。 俺がお前に何をしたというんだ。 ちょっとガキには使いこなせそうにないナイフを渡して、ちょっと大人ぶって家まで送ろうとした結果アクシデントに見舞われ家に泊めた…だけじゃないか。 そこで憧れていたらしい高身長が偽装のものであることがバレて、代わりに弱点を目の当たりにしてしまっただけの事だ。 ……多分、晒し上げられるまでの悪い事はしていない。 多分。 スマホを放り煙草でも吸おうかと立ち上がった所で、心做しか普段より盛り上がって見える布越しの違和感に気が付いた。 ……………いや、待て待て待ってくれ。 正気か、俺の身体は。 どこに勃つ要素があったのだろうか。 そもそも俺は佐々木から電話を受ける前、一体何をしようとしていた…? 一気に心臓が跳ね上がる。悪戯がバレた子供のような心地よくない緊張感。 佐々木の面影を感じて…一人で……何を…‥…? 自分の身体の変化にまるで驚きを隠せない。 これまで人並みに何人かの女性とは付き合ってきたし、この年齢になればそれなりの経験もある。 今よりもっと若かった時でさえ、ここまでになる事はなかった。 自分に性欲なんてものが本当に存在しているのかと疑問に思う程だった。 こんな、10代半ばのサルガキのような有様……到底自分のものとは思えない。認めたくも、ない。 本当に、どうしたんだ、何だっていうんだ。 その後吸っても吸っても収まらない動揺に、気が付けば買い込んだ箱はすべて空になっていて。 換気が間に合わず紫煙の充満する部屋で また深いため息を燻らせた。

ともだちにシェアしよう!