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第112話
俺は、今朝までの出来事を全て話した。
食事を食べ終えた頃から、酒で意識が曖昧だった事。買い物に出たのを最後に記憶は途切れ、目を覚ますとラブホテルに入室していた事。
そして俺を介抱したらしい相手が、あの佐々木であった事まで。
どこか一箇所でも内容を濁そうとすれば、ついでに鋭い眼光で睨まれる。
ここまで他人に自らの性事情を暴露する日が来るとは思っておらず、終始纏まりの無い長ったらしい話になってしまった。
「…で、竹内さんは佐々木君に、遂に抱かれてしまったわけですね。」
「俺の夢が確かなら、しては…っ、してはない!」
「でもあったんでしょう?使用済みの避妊具。」
「あ、ぅ…つ、使ったもんの中身までは確認してない…。」
「袋が空いてりゃ同じですよ。」
「………うっ、うぅ…。」
わかってはいたが…竹内、部下相手に惨敗である。
「それにしても、その佐々木君はどうしてこんなところへ来ていたんでしょうねえ。まだ学生ですよね?」
そうだ。そこが疑問なのだ。
やっと話題が別の方へ向いてくれた。
高校生の佐々木が、何故ど平日である今、地元から遠く離れた広島なんかに来ているのか。
アルバイトも殆ど毎日入っているような奴だ。学校にも行かずにフラフラと全国を練り歩いているとは考え難い。
可能性があるとすれば、それは──。
「法月の高校は…修学旅行どこ行った?」
「高校は確か…北海道ですね。」
可能性、グッバイ。
佐々木の勤めるコンビニ付近には、いくつかの高校がある。だが、制服はどこも小洒落たブレザーばかりなのだ。
ただ一つ、法月の母校である進学校を除いて。
あいつは学ランだ。
法月が修学旅行で広島に来たのなら同じ学校に通う佐々木がここに居るのも納得が出来るが、そうでないのならもう俺にはわからん。
やっぱりあれはもう、佐々木によく似た全くの別人という事でいいんじゃないか。
もしくは長い長い夢を見ていただけで、目を覚ませばいつも通りデスクでPCを叩いているんじゃないか。
……現実逃避というのはこういう事を言うのだな。
思わずため息が零れる。
と、その時
広い袖に忍ばせていたスマホが軽快な音を鳴らし、震えた。
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