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第128話
都会ではまず見かけないであろう3両編成の電車に乗り、一先ず足を休めることが出来た。
ICカードをかざせば早いものを、それでは証明がないだの何だのと後々煩くされる事は分かりきっていたので毎度領収書を受け取るため駅員の元へ買い求めに行かなければならない。
ただでさえ人と話すことが嫌いなのに、手間までかかると来た。
それが仕事である以上仕方ないと割り切らねばならないものだが、面倒なものは面倒。
と、そんな時に役に立つ優れものがアレだ。
てれれれってれー、の〜り〜づ〜き〜…なんてな。
むしろ俺が四次元ポケットを発動する前に気を利かせて切符を購入してくるものだから、こちらとしては大変助かる。
本来入社して日の浅い彼を場慣れさせる為同行させるという方針の筈だが、実は俺一人では何か問題を起こしかねないと踏んだ上司がお守り役として派遣させたのではないだろうかと疑ってしまう。
もしそうなら、上司の読みはナイスだ。
大当たりの鐘ならいくらでも鳴らしてやる。見てみろ、この湿布で窮屈になった極厚シューズを。
「竹内さん、竹内さん。」
「…?」
旅館で使ったのとは別の無音のカメラを起動しては外の景色を写真におさめる法月は、その行動だけを切り取ればあどけない子供のようで微笑ましい。
だが、彼の見た目がそうは思わせない。
「あと2駅です。そろそろキャリーの持ち手伸ばしておいた方が良いですよ。」
「ん、あぁ…ありがとう。」
ただ無邪気にはしゃいでいるだけではなく、きちんと周りの音に耳を傾け、前後の駅名まで把握しているだなんてどこまで優秀な男なんだ。
学生時代の修学旅行なんかでは絶対に同じグループにいてほしいタイプだ。
地図やマップアプリを開いても反対方向に足を進めるような俺とは比べ物にならない。
「あそこのお兄さんむっちゃイケメン。」
「うわっ、やば…。」
少し離れた位置から聞こえる声に、心の中で相槌を打つ。もしかしたら少し頭も動いたかもしれない。
そうだろう、この男顔はいいんだ。
タッパもあるし非がないだろう、容姿だけはな。
「竹内さん、ほら噂されてますよ。聞こえますか?
…やっぱり竹内さんは他の人から見ても魅力的な方なんですね。」
「いやお前だろうが。」
「え?」
「…はぁ。」
だが中身はこれだ。
アラサー上司の男相手に性的興奮を覚える、子持ちの天然及びオカマ疑惑のあるイケメン。
と属性をいくつか付け足した時、果たしてどれだけの女性がその薄桃色に染まった顔色を変えることなく眺められるだろうか。
「…降りよう。」
「はい。足元気をつけてくださいね。」
「あぁ。」
ま、表じゃこんな姿しか見せないんだから
理解しろっつっても無理な話だろうがな。
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