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第149話

「子持ちなの?アイツ?」 「あいつって……ああ。俺も向こうで聞いたばかりでな…同い年なのに驚いたが…。」 「へぇー…。」 何でそういう大事な事を竹内さんは早く言わないのかな。 俺の気持ちも考えてよね。つーかアイツも嫁がいるなら嫁とイチャついてろよ。竹内さんに触るんじゃねえ。 はーもう何なの。一気に呼吸楽になったし意味わかんないけど笑えてくるし。 「何ニヤニヤしてんだ!これ、取れって…冷たいんだよ!」 「えへへー、ごめんって。ぴゃんって言っちゃったもんね?」 「なっ……蒸し返すなよな…。」 ほらね。もういつもの俺に戻れちゃった。 竹内さんの可愛い悲鳴を揶揄う事だって出来るよ。 絶対に届きそうなもんなのに、竹内さんは内股で膝を上げたまま湿布を指して催促する。 両手が塞がってるって?いやいや、それはサイズの合ってない服を買う自分のせいでしょ。 甘えん坊なんだから。まったく〜。 「この辺だよね。まだ少し…熱いかも。」 「…っ、んぁ……そうか?」 気を取り直してもう一度。 …の前に、自らの手で腫れたくるぶしに触れた。 竹内さんの、一歩間違えば喘ぎ声とも捉えられる唸り声の誘惑に理性で打ち勝ち、足の裏に手を添えて。 こういうシチュエーションは男の俺でも憧れる。 毎日遅くまで仕事を頑張っている努力家のお姫様を見上げて、ついニヤけそうになるのを頑張って堪えた。 ガラスの靴を履かせてあげているみたいだ。 ま、今俺が持っているのは透明どころか真っ白の冷湿布だし、ガラスの靴より極厚のブーツを履くのが竹内さんなんだけど。 「…はい。出来たよ。」 少しでも負担をかけぬよう、ゆっくりと片足を床に導いた。 もう片方の足はというと、ソファの心地良さを知ってしまったのか完全に小さなお尻にくっついて膝を立てている。 膝の上に顎を乗せ、しっとりと濡れた髪を頬に貼り付けて俺を見下ろす竹内さんのエロさと言ったら。 それはもう、ダチが隙あらば開いていたエロサイトに出てくる女優なんか余裕で上回っているのは言うまでもない。 このまま写真撮っていい?って聞いたらまた追い出されちゃうかな。そしたらきっと、暫く音信不通で店にも来てくれない日が続くんだろうな。 …仕方ない。ここは我慢だ。 しかと目に焼き付けろよ、俺。 じいいぃぃ〜……。 っと竹内さんを見上げていて気付いた事。 その一。 意外と骨張っていること。 抱きしめた時もそんな気はしていたけれど、見る角度が変わるとまた違って見える。 細いのは相変わらずで、でも身長をあれだけ盛っていても違和感が無かったのは骨が太くてガタイは結構しっかりしているからなんだ。 そして…そのニ。 これが問題。 俺の不安は綺麗に解消された。だが、さっきまで泣いていた赤みの残る目は遠くを見つめたまま。既に手当ては終えているのに何のツッコミも食らわずに、こうして今も彼を見上げ続けられている。 聞き流していいって言いかけた話、俺がブチっちゃったし…まだモヤモヤは残ったままだよな。 まああの男が竹内さんとデキてる訳じゃないのなら、俺は竹内さんを全力で慰めてあげることが出来る。 さてさて、佐々木のお悩み相談室に招待しようじゃないか。 「竹内さん、さっき泣いてた理由。続き話してみてよ。」 「…っ、あ…それは……。」 竹内さんの顔が強張ったわけを 俺は、知らない。

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