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第187話

噛み合っているようで、何か物凄く別の話をしている気がする…んだけど、とりあえず竹内さんはどうしてそんなに目真っ赤にして震えてんの? …ってそこはまぁいいや。一回置いとく。 ちょっと予想外の展開で混乱してっけど、折角会えたんだ。言うなら今しか無い。 「ねえ竹内さ…いや、えっと暁人さんっ。俺やっぱり諦めらんなくてさ。」 「…っだから何でそれを俺に言うんだよ!」 「あんただから言いたいんだよ!!」 竹内さんの反応を見るとやっぱり辛い。どうせ振られるのはわかってるから。 けど、俺に諦めさせてよ。せめてあんたの口から、俺の事は好きになれないって聞かせてほしい。 「俺どうしても、暁人さんに伝えたい事が──。」 「いぃ〜おりぃ〜〜。」 「コウタロウ畜生クソ野郎ッ!」 「名前と悪口で韻踏むなテメェ!」 確かに俺が呼んだけど今じゃ無いだろ出てくるところは。 とことんタイミングに見放されている俺は、またもや竹内さんに気持ちを伝える事が出来なかった。 あれからキキも装備したらしく、何処から見ても女子高生とか地雷が持ってそうなふあふあバッグを肩に掛けた赤髪のヤンキー。見方によっちゃ普通の不良よりよっぽど怖そうなこーちゃんは、俺の財布以外何も入っていないスッカスカのバッグを此方へ投げると鮮やかな髪を風に靡かせながら立ち止まる。 これじゃ周りから見たら半泣きの大人に絡むやべえガキ①②じゃん。勘弁してくれよな。 「…あー、えっと紹介するスね。コレがこーちゃん。俺が前通ってた高校のダチで…。」 「…………ダチ?」 「どーもー。」 それまで多分竹内さん史上最も本気だと思われる力で俺から逃げようとしていた癖に、俺がこーちゃんを紹介した途端急に抵抗を辞めた。何なら溢れ掛けてた涙まで引っ込んでる。 …これ、もしかしてアレだよ。絶対そうだよ。 「こーちゃん!お前見た目怖すぎて竹内さ…っ、あ、暁人さんが怖がってんじゃねえか!」 「ええ?!俺?!てかアキトさん誰ぇ?!」 「お前が名前呼んでいい人じゃねえから!!!」 「何言ってんのぉ?!」 本当にその通りだ。 何言ってんだ、俺。つか“暁人さん”なんて、俺だって何度も呼んだ訳じゃないのにこーちゃん狡いんだもん。何すんなり呼べてんの。俺がどんなに緊張してるかわかるかお前。しかも告白する3秒前だったんだぞ。 あーっくそ。もういい、どうとでもなれっての。 最悪俺がばちくそ凹んでても、今ならこーちゃんが慰めてくれんだろ。 「あのなこーちゃん…こ、この人は…暁人さんは! さっき話した“くっそ残酷な振られ方した”人なの!俺が!」 デカい家に1人で住んで、仕事仲間の男に片思い中、でも女もいる。そんな最低で、格好良くて、可愛くて、強くて、ヒーローで、俺の大好きな人なの!!! 「ええええええ?!?!」 「「ん?」」 こーちゃんと、俺の声が重なる。 だって、そりゃ意味わかんないよ。誰もわかんないと思う。 この状況で、誰より驚いて「身に覚えがない」みたいな顔して聞いた事もないくらいクソデカボイス出してんのが竹内さんだなんて ……一体誰が、想像できたって言うんだ。

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