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この矛盾が僕を潰す③ ※先生視点

 出雲のお腹がピクピクと力が入ったり抜けたりを繰り返している。可愛いなとお腹を撫でながら手元にある玩具に繋がるリモコンのスイッチを入れた。  部屋に単調なバイブの振動音が響き始めると出雲はかっと目を見開いて浮いたままの太ももをガクガクと揺らした。 「あッ?! あ、あ、あ、あ、ひ、ぁっ、やだやだやだやだ、あ、アッ!」  ぎっちりふくらはぎと太ももを拘束しているため踵は床につけられないが、必死につま先を伸ばして床につけ、耐えきれず腰を浮かす……が、動いたことで中でまた圧力が加わり、イッと変な声を漏らして歯を食いしばる。 「凄いね……前立腺……ビリビリ、擦られてるんだ? 気持ちいい?」 「あぁッあぁッ、イク、あ、あ、イクッ、イクッ、あああぁ!」  瞼を閉じて眉根を限界まで寄せ、腰が何度も跳ねる。それでも刺激は終わることなくそのまま弛緩した顔は魂が抜けたみたいに虚ろだった。このまま戻ってこれなくなりそうだ。今性器を口に押し込んだら噛まれるだろうか。出雲の口に指を入れ様子を見ながらリモコンをベッドへ放る寸前、振動の強さを示すランプが全て点灯していることに気がついた。 「あ、これ……ふ、はは……振動最大だった」  可哀想なことをしてしまったなと思いながらガラにもなく声を出して笑ってしまった。 「可哀想に……ふふ、ごめんね? いきなり、びっくりしたね?」  うっすらと開いた瞼から見える瞳にはあまりにも力がない。口を開けて、あ、あ、とひっきりなしに声を漏らしながら涎を垂らしてしまっている。見るからに大量の汗をかいて肌がしっとりしているので、張り付いた前髪をあげておでこの汗を手のひらで拭ってあげた。すべすべのおでこが触っていて気持ちがいい。 「出雲は……可愛いね。どんな風になっちゃっても、可愛い……髪の毛、汗で濡れちゃってる」  腰を屈めて濡れた髪に鼻先をつけると、とてもいい匂いがした。下半身からどんなに生々しい臭いのついた液体を漏らしても、この子の汗はとても爽やかなのだ。額からこめかみ、小鼻のあたりなど、汗の光る場所をちゅ、と吸いながら舐める。何が変なものが混ざっているのではないかと疑うほどに興奮してくる。 「あー……出雲の汗……おいしいね? 可愛い……そろそろ僕の、舐めてくれる?」  リモコンをもう一度手に取り少し振動を弱めてあげてから、口の中に指を突っ込んで歯に指をひっかけて無理矢理に顎から口を開けさせた。頭が上に向いて綺麗に喉がまっすぐになっているので、角度を少し調節するだけですんなりと奥まで飲み込まれていく。  出雲がやたらと僕の男性器が下反りなのを気に入っているので、大好きな喉の上に引っ掛けるように腰を振るときゅっと喉がしまって気持ちがいい。白い首が隠すことなく全て綺麗に晒されているため、喉に性器が出たり入ったりしてボコボコと中を押し上げているのもよく見える。少し腰が辛いがこの体位はなかなか良いなと、まるで触れてもらうのを待っているかのように尖らせた乳首を指の背で撫でる。  ふーっ、ふーっ、と荒い鼻息とともに、うぐっと苦しそうな音とも声とも言える様な音を発し、腰を左右にゆすってくねくねと身動ぐ。出雲の性器は相変わらず力がなく、閉まらなくなった蛇口みたいにたらたらと我慢汁を垂らし続けている。 「出雲? ちゃんと、舌も動かして?」  喉が締まるのはいいが、出雲の反応が薄い。いつもならちゃんと吸ったり舐めたりとしてくれるのに。  顔を見ると意識が飛んでるわけではなさそうだが、ギリギリの感じがした。腑抜けた顔でただ全てを受け入れ身体を揺らしてる。  どんな声が出るかな、と期待して性器を口からずるっと引き出してみれば、あーと間の抜けた鼻声がこぼれる。 「あぁ……あー、あー…ひ、ひぐ…………イッてるのに、イッ……あ、あ……イッちゃうぅ……イッちゃうぅ……」 「出雲……僕のこと、わかる?」  頬に触れてみても目線も合わないし返事もなくただただ声を漏らす。自分の身体の中を知覚するので精一杯で外部の情報など何も取り入れられないのだろうな。腰から背中にかけてぶるりと快感が駆け上がるのを感じる。どれだけこの状態にしておいたら戻れなくなるだろう。  ただただ可愛いオナホールに成り下がったその口に性器を挿入し、好き勝手腰を振る。しかし時折喉は締まるものの、いつものように吸い付いてこないので少し物足りない。オナホといえば外側から握って調整するよなと考えて、頬をぎゅっと手で両側から挟むと頬の肉が擦れて少しマシになった。  後は喉の締りがもう少し欲しいので首にも手を添え、締めて緩めてを繰り返す。すると舌の根のもっと奥、咽喉へ繋がる箇所が調度カリに引っ掛かって締まりかなり具合が良くなった。 「出雲、出雲……どこにも行っちゃ、だめだよ……君は僕の、なんだから」  当然返事はないけれど、自分の手中に出雲が完全に収まっていることを感じられて幸福度は増し、快感を引き出した。どんな物理的快感も出雲に対する支配欲と嗜虐心を満たすこの快楽には敵わない。  咽喉の奥までぐいっと男性器を差し込み、小刻みに激しく何度も何度も休みなく突き立てた。柔らかな頬の肉に包まれ、亀頭が喉の少し骨を感じる部分に引っ掛かって擦れて絶頂感がどんどん高まっていく。自分の額にも汗が滲むのを感じ、吐息が漏れた。 「出雲……イク、イクよ……?」  声をかけると爪先がぴくっと反応したような気がしたが、ただ感じているだけかもしれない。別にそれでも構わない。出雲の口内の形を深く感じながらもギリギリのところで引き抜き、その終わってる顔に精液を吐き出した。上を向いているため濃い白濁とした液体は顎にまず垂れ、そのあと頬を伝い、鼻の穴まで流れていく。中に入っていくと、うぐっと噎せて咳き込む。  かなり興奮していたのも納得な量の精液だった。咳き込んでもなお戻ってくることのなく力のない顔に手を添え、親指で精液を塗り伸ばす。出雲の顔にかけて顔中に僕の臭いをつけるのが大好きだ。寝てる時にしかした事ないけれど。 「あ……あ……」  まだ玩具に快感を与え続けられている出雲が声を漏らす。  顔中に僕の精液を塗られ、手は頭上で縛られ、太ももとふくらはぎもM字開脚縛りで固定され、尻穴では玩具が震えている。あんまり可愛いのでズボンに入っていたスマートフォンであらゆる角度から何枚も撮影した。  頭をベッドから落とした状態のまま数枚、そしてベッドの上に頭を戻してあげてから数枚、全身から顔のアップから上から下から横から撮影して満足した僕は、スマートフォンをサイドボードに置いて代わりにタバコを咥えて火をつけながら、どうしようかと考えた。このまま放置してみてもいい。意識を戻して反応を見るのもいい。  とりあえず一度、リモコンでスイッチを切り、バイブを止めてみた。正直なところモーター音がそろそろ耳障りだった。しかし出雲はぐったりとしたまま動く気配はない。  出雲が寝転ぶ隣に腰を下ろし、太ももから開かれた尻までを撫でると時折ぴくっと小さく体が震える。内ももには先日つけた噛み跡がまだ残っていた。  タバコの煙を吐き出しながら、僕がこの子を壊してるのか、この子が僕を壊してるのか分からなくなる。復活しつつある理性を感じながら、本格的に理性が壊れた時に自分が出雲にどこまでのプレイを要求するのか考えた。出雲の何に喜び、何に怒り、何に快感を感じるだろう。  もういっそ壊れてしまいたい。理性がまだ残っているからこの子を手放そうなんて思ってしまう。絶対に手放したくないのに。卒業式だって外に出したくない、もう二度と外に出したくない。  入れたままの玩具をゆっくりと引き抜いた。そして腕はそのまま、タバコを口に咥えて足の縄だけ解いてやる。上がったままの足をゆっくりベッドに下ろす間、ずっと固定されていたためにガクガクと痙攣していた。  出雲はゆっくりと瞬きを繰り返したあと、すとんと瞼を落とし寝息を立て始めた。すぅすぅと可愛い息遣いが耳を和ませる。  タバコを吸ったらおしぼりを作って顔も身体も拭いてあげよう。何が何だかわからない液体で全身べたべただ。 「出雲……どうしようか。僕のそばに、ずっといる?」  汗で湿った髪を撫でながら、返事がないのをわかっていて問いかける。 「君は……全部、受け入れてくれるから……一緒に壊れてくれる?」    深夜一時頃、ベッドで行儀悪く三三○ミリリットル瓶ビールを直に飲みながら寝顔を眺めていたら、ふと出雲の目が開いた。ぼんやりと視線を動かし、やがて僕を捉える。 「おはよう」  微笑みかけるが出雲は笑い返すことなくぼーっとした顔のままだ。しかし少しの時間を要して、ぽつりと言葉を落とす。 「けむい……」  言われて灰皿を確認すると、確かに普段ならこの短時間で吸わない量の吸殻があった。それでもなお手に持っていたタバコをまだ半分ほど残っていたが灰皿に押付けた。 「ごめんね? 向こうに、行く?」  しかし出雲は首を横に振った。そして目の前にある自分の手首が、さっきとは縛り方が違うもののまだ縛られていることに気がつき縄をじっと見つめる。頭上では辛いだろうと思い、ある程度自由が聞くようにお腹側に腕を垂らして両手首だけを固定したのだ。 「もうずっと、このままですか?」  覇気のない声で静かに問われて僕は首を傾げた。 「わからない。嫌?」 「いえ……でも、先生のことが抱きしめられないのは悲しいです」 「僕が……抱きしめるよ」  出雲は僕の顔をじっと上目遣いに見つめ、袖の肘あたりをつん、と引っ張った。 「じゃあ抱きしめてもらってもいいですか?」 「うん」  瓶ビールをサイドボードに起き、布団に潜って自分に比べて小さな身体を抱き寄せる。胸板に頬を擦り寄せる可愛い頭の揺れを腕に感じながらいつもの出雲だなと思っていたら、腰に腕を回した時にいつもより過剰にビクッと身体が揺れた。 「あ……」  甘い声と共に息が漏れて胸元をくすぐってくる。もうすっかりいつもの出雲だと思ったが、試しに太ももを片方抱えて会陰部から前立腺を軽く押してみたらビクッと大きく背を反らした。 「せんせっ……あ、また……っ!」 「こんなんで……感じちゃうの? それじゃあ君、椅子に座れないよ?」  あくまで外側だけ、人差し指と中指を使って優しく円を描くように押し撫でる。 「あぁぁ……せんせぇ……せんせぇ……きもちいい、どうしよう、きもちいぃぃ……」  困惑しているくせにいやらしく腰を揺らして僕の指にそこを押付け貪欲に快楽を求めている。このままいけば本当に手遅れになるかもしれないと考えたら体の奥底に黒いものが溜まっていくのがわかった。  君を閉じ込めておきたい。  でもそんなことしちゃいけない。  君の世界を僕一人で埋めたい。  でもそんなことは不可能だ。  君を手放したくない。  でも手放さなきゃいけない。  君を幸せにしたい。  でも僕では幸せにしてやれない。  君を家に帰さなくちゃ。君は僕と違うのだから。皆に愛され、他人をちゃんと愛せるのだから。  でも僕は君しか愛せない。君しか欲しくない。僕の世界には既に君しかいない。 「もうどこにも、行かない? 外に行きたいって、言わない?」 「言いません、ごめんなさい……ここにいます、ずっと先生のそばにいて先生の帰りを待ってます、だから……」 「だから?」 「中、からも……擦ってください……もっと気持ちいいの、ください……っ」  本来なら明日も朝早いからと断るところだ。しかしそんな理性も捨ててしまおう。  早起きして栄養バランスに優れたお弁当を作ってくれた君が、あんなに乱れた後にもっと気持ちよくなりたいとだらしなく求めてくれる。 「さっきあんなにしたのに……えっちだね。もう、やだって言っちゃ……だめだよ?」 「言いませんっ……先生の言うこと、何でも聞きますから。ずっとここにいるからもう、おかしくなってもいいです……先生……」  悪い子でいい子な出雲に口付ける。二人で息を荒くして唾液を絡ませ、べちゃべちゃとみっともないほど互いを求める。  そういえば拘束してしまったら軟禁ではなく監禁だと出雲が言っていたっけ。どちらでも構わないが。  中に指を突き立てる。そろそろここに入れたい。取り返しのつかないことにしてしまうためにも。        

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