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第1話(ジョン)
生まれながらにして人間は不公平だ。
何一つ平等じゃない。
全てを手に入れる者もいれば、全て搾取され続ける者もいる。
「あっ、あぁ!はっ、もっとぉ」
俺に一晩買われて、良い声で啼くこの男も、また後者だろう。
「ジョン、もっと来て、中に、深く」
栗毛のお気に入りの男娼だ。
名前はトビーと聞いているが、本名は知らない。
小柄で整った容姿と、儚げというより憔悴した、弱々しい男だ。
栗色のサラサラした毛並みが気に入っている。
週に2〜3回は通うほどに。
「あん、あっあっ、ジョン、もうダメ、出ちゃう!」
「客より先にイクつもりか?」
いつものように、古びたモーテルを改装して作られた売春宿でトビーをバックから突いていると、脇腹辺りに痣を見つけた。
「おい、この痣、なんだ?」
右脇腹の皮膚が内出血していて、赤黒くなっている。どこかにぶつけたというレベルじゃない。
「あん、あっ、ごめん、気持ち悪いっよね。昨日の、、、あっ、お客さんこういうプレイが好きな人で」
まあ、売春宿で働いていれば客からの暴力なんか日常茶飯事だろう。
「トビー、まだイクな」
イケないよう根本を掴む。
「ひぃっ!あん、やだ、もうっ」
こいつが、このままココで働き続ければ、当たり前にまた客の誰かに、俺が知らない所で痛めつけられるのかと思うと腹の底から怒りが込み上げた。
パンッ、パンッ
「ああっん!お願い、もう!」
トビーのアナルがキュッと締まった。
涙目で振り返るトビーの紅潮した顔に、一気に欲望を吐き出す。
手を離すと、トビーも直ぐに射精した。
なぜ、こんなにも怒りが湧き上がるのかは分からない。
ただ、他の男に渡したくないと思った。
行為が終わると、いつもはすぐ立ち去るが今日は延長して朝までトビーを買った。
俺は初めて、トビーと朝まで眠った。
こいつを買い取るにはいくら必要だ?
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