5 / 17

第5話(ジョン)

カーテンの隙間から差し込む朝日が眩しく目が覚める。 懐には昨日買ってきたトビーが眠っていた。 青白くやつれた顔をしている。 気に入っている栗毛を撫でると猫のように頬を擦り付けて来た。 「おい、朝だ。起きろ」 「んっ、、、???」 トビーは一瞬キョロキョロと警戒したように周囲を見回す。 俺の顔を改めて見るとホッとしたような顔になった。 「俺は今から仕事だ。金と家の鍵はダイニングに置いて行く。後は好きにしろ」 もしかしたら、仕事から戻るとトビーは消えているかもしれないと思ったが、それもまた良いと思えた。 「分かった」 トビーは小さく頷く。 今日は、例の汚れ仕事だ。 トビーを買うために、俺はある女に借金をしている。その女から依頼される仕事だ。

ともだちにシェアしよう!