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第2話

「それは、なんで?」  戸惑いながらも無理矢理笑顔を浮かべ、聞いた。  すると彼もまた困ったように笑い、答えた。 「うーん......理由を聞いたらきっと、紘平は困ると思うよ?  だってお前、優しいもん」  優しいなんていう言い方をするということは、彼に嫌われたワケではないようだ。  だけどそれにホッとするのと同時に、更に困惑した。 「優しくなんか、ないけどな。  でも例え困るような答えだったとしても、こんなワケ分かんない状況で絶交されるより、よっぽど良いよ」  ほんの少しの感情の乱れも見逃すことがないように、じっと日向の瞳を覗き込む。  すると日向はフッと小さく笑い、告げた。 「好きなんだよ、紘平の事が。  友達としてなんかじゃなく、恋愛感情として」  普通ならば同性にそんな風に言われたって、不快だとしか感じられなかったと思う。  なのにその言葉に驚きはしたものの、次の瞬間、思ってしまったんだ。  ......嬉しいって。  でも一方的に関係を切ろうとされたのにはやっぱり腹が立ったから、彼の顔面を睨み付けた。  日向の色素の薄い、飴色の瞳が戸惑ったように揺れる。  そして彼は泣きそうな顔をして、震える声でごめんとだけ告げた。  そんな彼を見て、つい噴き出した。 「いいよ、日向。お前の望む通り、友達はやめてやるよ」  クスクスと笑いながら俺が答えると、彼はうつむき、コクンと頷いた。 「ん......。ありがと、紘平。  今まで、楽しかった」  そんな彼の額をピンと指先で弾き、笑いながら言ってやった。 「過去形に、すんな。  友達()、やめてやるって言ってんの」  すると彼はびっくりした様子で顔を上げ、俺のことを凝視した。

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