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式が終わり、みんなで集合写真を撮ったあと予約していた海沿いのホテルに向かった。全室オーシャンビューで部屋からの眺めは最高だった。
「いやー疲れたけど、いい式になってよかった」
そう言って実さんはベッドに倒れ込んだ。
「無事に終わってよかったです」
その隣に寝っ転がった。
「お義母さんもきっと喜んでます」
「うん、そうだといいな」
窓の外を見ると、水平線に夕日が浸かっていた。
実さんの手を引いてバルコニーに出ると、海の匂いがした。
「実さん」
実さんの肩に頭を預けた。
「ん?」
頭を優しく撫でてくれる。
「あと何回、実さんって呼べるんでしょうね」
「先のことは分からないけど、呼ばれるたびに純のこと好きになるよ」
「これからずっと2人きりで飽きませんか?」
「こんなに可愛いのに飽きるわけないだろ」
その言葉が嬉しくてほっぺたにキスをした。
「ワンちゃんもいつか飼いたいです」
「それは今度考えるとして···」
そう言うと、実さんはお姫様抱っこでベッドに連れていった。
「今は純を抱きたい」
優しく下ろしながら耳元で囁いた。
「うん」
波音に2人の声が重なった。
隙間から射し込む日差しで目が覚めた。実さんは子供のようにすやすや眠っていたので起こさないようにそっとベッドを抜け出して、カーテンを開けた。
強い日差しと少し肌寒い海風が心地いい。
思えばいろんなことがあった、いやありすぎた。
ーあのとき再会してなければ
実さんとはただの先輩後輩の関係だっただろう。
ー勇気を出してなければ
今も浩介とのことで自分を責め続けていただろう。
これからどんなことが待っているかは誰にも分からない。でも今を、この瞬間を変えることは誰にだってできるはず。そう思わせてくれたのは他の誰でもない実さんだ。
ベッドに戻って実さんの髪を撫でた。
ー僕の旦那さんはこんな顔してたんだ
こんな無防備な姿を知ってるのは自分だけだと思うと笑みがこぼれた。
「ん···おはよ」
眠そうに目を擦っている。
「おはようございます」
「何してたの?」
「旦那さんの顔を確かめてました」
「今旦那さんって言った?」
「言ってません」
「いや、絶対に言った。もう一回言って」
「旦那さん」
耳元ではっきりと聞こえるように言った。
「俺の奥さんはツンデレだな」
そう言うと実さんが後ろから抱きついてきた。
「夜はデレデレなのに」
「恥ずかしいです」
「そういうところが大好き」
「僕はそういう風に言ってくれる実さんが大好き」
朝日が2人の指輪を照らした。
♡✳The End✳♡
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