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第1話

side(はる) 「「お先に失礼します」」 高校を卒業してから就職した社労士事務所。 30名ほどの事務所で、他社の給与業務や社会保険業務を代行して行っている。 「今日はどこ行くの?」 彼は同期の東條(とうじょう)千世(ちせ)。2歳年上だが、好みと趣味が合いとても仲が良い。 「んー、ずっと気になってるお店に行こうかなーって」 「一緒行ってもいい?」 「うん。最初から誘うつもりだった」 「やった!」 今日行くお店は路地裏に見つけた喫茶店。 レトロなお店が好きな俺は即行で目をつけた。 「あー、なんか疲れた」 「金曜日だもんね」 「いや、それだけじゃなくて…」 「あー、あの人?」 「うん…」 あの人というのは俺らのもう1人の同期のこと。 色々あって、2人ともその同期のことが苦手なのだ。 「まぁ、今日は金曜だし忘れよ」 「うん…」 「あ、着いたよ」 「え、ここ?」 「うん。すごいレトロな感じに惹かれて」 「わかる。俺もこの感じ好き」 「ね。入ろっか」 お店の扉を開けて中へと入る。

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