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第2話

side悠 カランカラン。 「いらっしゃいませ。2名様でしょうか」 入るとすぐに店員さんに声をかけられ、席を促される。 「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」 「……」 「悠、どうしたの?」 「ううん。なんでもない」 「そう?」 ここ『sound Tree』は喫茶店とバーを一緒に経営しているらしい。 今日は金曜の夜というのもあるのか、食事とお酒を一緒に楽しんでいる人が多いようだ。 何を食べるかなとメニューを開くと、1枚1枚シンプルな枠の中に丁寧できれいな字で料理の名前が書かれていた。 (手書きだ…) 「どれにする?」 「んー…千世さんは何にするの?」 「ハンバーグのセットにしようかなって」 千世の意見をきいてみたが、メニューを見ていると全然決まらない。 (どれも美味しそう…) 「お決まりでしょうか?」 迷っていると先程の店員の人が来た。 千世が目配せをしてきたので、まだ決まっていないとアイコンタクトする。 「ハンバーグのセットで飲み物は白ワインをお願いします」 「かしこまりました」 千世が注文を言うと、店長さんが俺へと視線を移した。 「あ…えっと……どれにしようか迷ってて…」 俺の言葉に店員さんが少し思案する。 「…それでは、私のオススメを作らせていただいてもよろしいですか?」 「え…あ、お願いします」 「苦手なものはございますか?」 「海藻類が少し…」 「わかりました。それではお作りさせていただきます」 一礼して厨房へ戻っていく。 「海藻苦手なの?」 「うん。乾燥海苔以外食べれない」 「佃煮とかも?」 「うん。苦手…」 千世と話をしながら料理が来るのを待つ。

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